消費税の引き上げ時に改正された税制特例の中で、延長されたものがあることをご存知でしたか?
このコラムでは、住宅に関する『住宅ローン控除の特例』と『贈与税の特例』の2点の改正をピックアップしてお伝えします。
「まだ間に合う!」お得な制度をこの機会に改めて確認してみましょう。
『住宅ローン控除の特例』の延長と見直し
『住宅ローンの控除の特例』とは、消費税率10%が適用される住宅を購入し、償還期間が10年以上の住宅ローンを利用した場合、ローン残高の1%を所得税から控除する減税制度です。
この特例が、コロナ禍で低迷する経済を回復し、住宅取得を後押しするため期間が延長され、対象不動産も拡充されました。
改正のポイントをわかりやすく解説します。
① 契約期限の延長
■注文住宅の場合 2021年9月末まで
■分譲住宅の場合 2021年11月末まで
■中古住宅の場合 2021年11月末まで
(*消費税10%が適用されない場合は適用外になります)
■中古住宅を購入し増改築をした場合の増改築費用 2021年11月末まで
② 控除期間の延長
上記契約期間の基に2022年12月末までに入居する場合、控除期間が10年間から13年間に延長されました。
昨年はコロナ感染拡大の影響で、住宅の建設の遅延等が生じたことにより入居時期が遅れた場合に柔軟な対応が取られ、住宅ローン控除期間の13年の特例が1年延長されました。
③ 床面積要件の緩和
今回の改正で対象の登記床面積が『50㎡以上』から『40㎡以上』に緩和されました。
コンパクトな住まいも控除の対象になったことにより、住宅ローン控除を受けたいけれど新築の50㎡は高くて手が出ないので中古にしよう、と思われた方、そもそも50㎡なんていらないから控除が受けられないなら賃貸のままでいいか、と思われていた方にとっても朗報ですよね。但し、40㎡以上50㎡未満の場合は13年間のうち、合計所得金額が1000万円以下の年のみ適用になります。
住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置
住宅取得時にご両親、祖父母から資金援助を受けた際に掛かる贈与税の非課税枠が令和2年度と同じ水準まで引き上げられました。
期間は2021年12月31日までに契約締結をしたものが対象になります。
尚、受贈者(もらう人)が贈与を受けた年分の所得税に係る合計所得金額が1,000万以下である場合に限り、床面積要件の下限が40㎡以上(現行:50㎡以上)に引き下げられます。
【改正前】
■一般住宅:800万円
■耐震・省エネ・バリアフリー住宅:1,200万円
【改正後】
■一般住宅:1,000万円
■耐震・省エネ・バリアフリー住宅:1,500万円
援助を受けるなら今年中ですね!まだ間に合います!
まだまだお伝えしたいお得な制度がございます。ご興味ある方はこちらの財務省パンフレットをご覧ください。
【外部リンク】財務省HP「令和3年度税制改正」(令和3年3月発行パンフレット)
また、住まいと暮らしのコンシェルジュでは、税理士による無料の税務相談をご用意しております。
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「二世帯住宅」って相続税対策にもなるんです!
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古くなった実家を、親が自分の資金力で建て替えようとすると、「ローンを長く組めないし、老後の資金も残しておきたい。」という問題が出てきます。同じ頃、子世帯がマイホームを欲しいと思っても「自分達で土地を買って注文住宅を建てると、予算をオーバーしてしまう。」 という悩みが出ることがあります。
そんな時、「二世帯住宅」を建てるという選択肢を考えてみませんか。
二世帯住宅には下記のようなメリット、デメリットがあります。
■メリット
・加齢期の生活サポート
・土地・建築資金の節約
・家事・育児の協力
・旅行中の防犯を心配しないで済むので、安心して旅行に行ける
・孫と触れ合うことで生活に張りが出る
■デメリット
・生活のリズムが違う
・両世帯で共用する部分が多いとプライバシーが保てない
私自身も数年前に、親世帯が1階、子世帯が2階の「上下分離型2世帯住宅」を建てました。
80歳代の両親は、通常の身の廻りのことは自分達で充分出来ていますが、重いものを運んだり、体調が悪い時に病院へ付き添ったりと、子世帯が近くにいればサポートできることもあるので安心して暮らせています。
一方で子世帯も、洗濯物を干しっぱなしで出かけても雨が降ればしまっておいてもらえるので、天気が変わりそうな日でも安心して外出できます。
もちろん美味しいものを買った日は半分届けるなどの気遣いは必要ですが、お互いに安心して暮らせる距離感の二世帯住宅はお勧めです。
そしてなにより相続時の節税対策になるのです。
二世帯同居の場合、土地の評価額を抑えて相続税を軽減できる『小規模宅地の特例』が適用されるケースがあります。
『小規模宅地の特例』…「聞いたことはあるけどよく判らない」という方は多くいらっしゃると思います。
一言で説明いたしますと、諸条件を満たす場合、相続した『土地』の評価額が80%減額される、という特例です。
土地の評価額が80%減額されるのですから、
例えば、
相続人が一人で、相続した300㎡の土地の評価額が1憶円の場合
■ 1憶円 ー 基礎控除3,600万円(*1)= 6,400万円
*1:遺産に係る基礎控除額:3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
小規模宅地の特例を使わなかった場合の相続税は
■6,400万円 × 30%(*2)- 控除額700万円 = 1,220万円となるのですが…
*2:法定相続人の取得金額が5,000万円超~1憶円以下の場合、相続税の税率は30%
小規模宅地の特例を使った場合の相続税は
■1憶円 - (1憶円×80%) = 2,000万円
2,000万円 - 基礎控除3,600万円(*1)= -1,600万円、
つまり課税遺産額がマイナスとなり、土地分の相続税がかからなくなります。
このように「小規模宅地の特例」が使えることは大きなメリットになりますが、条件の確認をしっかりしておく必要があります。
相続税対策も考えながら二世帯住宅を建てようとお考えの方は、無料の税理士による税務相談もご利用頂けますので、一度コンシェルジュにご相談にいらして下さい。
2021/07/01
注文住宅2021/07/01