実家じまいの進め方!空き家にしないための準備と注意点

実家じまいの進め方!空き家にしないための準備と注意点

親が高齢になってくると、「実家をどうするべきか」と考える場面が増えてきます。

今は元気でも、将来ひとりで暮らせなくなったらどうなるのか。もし空き家になったら、管理や税金はどうなるのか。こうした不安を抱えながらも、なかなか家族で話し出せない…という方も多いのではないでしょうか。

実家じまいは、親のこれまでの人生、そして遺された家族たちのこれからの人生にも深く関わるテーマです。そのため焦らず、しかし先延ばしにしすぎず、計画的に向き合うことが大切です。

この記事では、実家じまいの基本的な意味から空き家になるリスク、活用できる制度や何から始めるべきか、といった内容を解説します。

親の気持ちに寄り添いながら、後悔のない選択をするために、ぜひ参考にしてください。

本稿の概要
⏵実家じまいとは、親の住まいを整理し売却や解体などによって手放すことであり、家族の将来を見据えた準備。
⏵実家が空き家になると、防犯リスクの増加や建物の劣化、固定資産税の負担増、相続トラブルなどの問題が生じる。
⏵実家じまいは家族での話し合いを起点に、生前整理や財産分与の整理などを計画的に進めることが大切。




実家じまいとは?

実家じまいとは、親が住んでいる、あるいは住んでいた家を整理し、売却や解体などによって手放すことを指します。建物を処分するという意味だけでなく、家財の整理や名義変更、相続の手続きなども含めるのが「実家じまい」です。

【実家じまいは増えている!その理由は?】近年は高齢化の進行や、子ども世代が実家を継がないケースの増加により、実家じまいに直面する家庭が増えています。実際に実家じまいを検討し始めるきっかけはさまざまですが、多くの家庭にとって避けて通れない問題です。

ただし、実家じまいは単なる不動産の処分ではありません。そこには家族の思い出や歴史が詰まっており、モノの整理であると同時に、気持ちの整理でもあります。

そのため、実家じまいの進め方には慎重さが求められます。

実家じまいを始める際のポイント

実家じまいを考えたとき、まず意識したいのは「タイミング」です。

実家じまいの話し合いは、いざ実家を手放すタイミングではなく、親が元気なうちに話し合いを始めることが理想です。

家をどうするのかーー売却するのか残すのかといった方向性は、本人の意思を確認できるうちに共有しておきましょう。認知症などで判断能力が低下すると、不動産の売却が難しくなる場合があるためです。

【親の死後に実家じまいを始めるリスク】
親が亡くなってから実家じまいを始めると、相続や名義変更、遺品整理などが一度に重なってしまいます。生前に手続きをしていればこんな苦労は…と思うシーンもあるかもしれません。

また、親の判断がないことで、兄弟姉妹それぞれが意見を出し合うかたちとなってしまい、話し合いが長引くケースも少なくありません。

ただし、忘れてはならないのが親の気持ちです。

実家は思い出の詰まった大切な場所。管理や税金の問題だけで進めるのではなく、まずは親の気持ちに寄り添い、家族で話し合いながら計画的に進めることが大切です。

実家が空き家になるリスクとは?

実家じまいを先延ばしにすると、家が空き家になる可能性があります。

空き家は時間が経つほどさまざまな問題が生じやすくなります。ここでは、実家が空き家になることで生じる主なリスクについて、確認しておきましょう。

防犯リスクが高くなる


人の出入りのない家は、不法侵入されやすくなります。

「別に盗られて困る物なんて何もないし…」と考える方もいるかもしれませんが、本当に怖いのは他人に居座られてしまうことです。

勝手に他人に仮住まいとされてしまうことはもちろん、犯罪グループの拠点として使われる可能性もあります。また、不法侵入によって不法投棄や放火といった重大なトラブルに発展するリスクもゼロではありません。

近隣住民との関係性の悪化

空き家となった実家に対する防犯リスクは、自分たちだけでなく、近隣の住民にとっても不安の種となります。

不安な感情が「早くあの空き家をどうにかしてほしい」「いつまで放置をしているのか」といった苦情に発展し、ご近所との関係性にヒビを入れることもあるかもしれません。

また、空き家となった実家に発生した害虫や、伸び切った植木がお隣の敷地をまたいでしまうなどといったトラブルも、ご近所問題へと発展しやすい内容です。

建物の急速な劣化


家は住まなくなると傷みやすくなります。換気がされず湿気がこもることで、カビや腐食が進みやすくなるためです。

結果として、売却できたはずの家が解体せざるを得ない状態になる可能性もあります。

固定資産税の負担


誰も住んでいない空き家であっても、固定資産税はかかり続けます。固定資産税の価格は土地や家の規模にもよりますが、使っていない建物に対して、毎月出費が発生するのは家計にとって大きな痛手です。

さらに問題なのが、管理不十分と判断され「特定空き家」に指定された場合です。


【特定空き家とは?】

特定空き家とは「そのまま放っておくと危険」と判断された空き家のこと。これに指定されると、以下のリスクが生じます。

  • 改善するように指導や勧告を受ける
  • 固定資産税の優遇が外れる(固定資産税が最大6倍になることも!)
  • 行政が強制的に解体することもある

放置しているだけでさまざまなリスクが大きくなる点は、家族にとって見過ごせない問題です。

相続トラブルの火種になる


空き家となった実家は、「誰が管理するのか」「売るのか残すのか」といった点で意見が分かれがち。

兄弟姉妹でトラブルへと発展し、親族間の関係性にヒビが入ることも考えられます。また、話し合いがなかなかまとまらず空き家が長期間放置されてしまえば、その分だけ防犯性への不安やご近所とのトラブルリスク、建物の劣化や固定資産税の負担など、空き家にまつわるリスクもどんどん高くなります。

実家じまいに活用できる税制優遇、補助金

実家じまいには、家屋の解体費や廃材や不用品の撤去費用、売却した場合は手数料などが発生します。

大きな金額が必要になるので、親の遺産だけでは足りないケースも少なくありません。

実家じまいの費用負担を抑える際は、税制優遇や補助金制度を活用しましょう。

実家じまいの税制優遇で代表的なのが、いわゆる「空き家の3,000万円特別控除」です。正式には「被相続人の居住用財産を売ったときの特例」と呼ばれる制度で、相続した実家を一定の条件のもとで売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる仕組みです。

【空き家の3,000万円特別控除を受けるための条件】
  • 相続開始直前まで被相続人が一人で居住していたこと
  • 昭和56年5月31日以前に建築された住宅であること
  • 相続後に耐震改修または解体を行うこと

  • 適用には細かな要件があるため、税理士や不動産会社への確認が欠かせませんが、該当すれば大きな節税効果が期待できます。

    また、建物を解体して更地にする場合や、耐震補強を行う場合には、自治体の補助金制度を利用できることがあります。補助額や対象条件は地域によって異なるため、物件の所在地の自治体ホームページや窓口での確認が必要です。

    実家じまいは何から始めるべき?

    実家じまいを考え始めても、「何から手をつければいいのかわからない」と感じることもあるでしょう。

    実家じまいは、いきなり売却や解体を検討するのではなく、まずは土台づくりから始めることが大切です。

    ここでは、実家じまいを進めるうえで押さえておきたい基本のステップを紹介します。

    家族と話し合う


    実家じまいの際に最初に行うべきなのは、家族での話し合いです。

    家を残したいのか、売却したいのか。その場合は親はどこに住むのか、将来施設に入る費用は誰が負担するのかなど、早い段階で家族全員の認識をそろえることで、その後の手続きがスムーズになります。

    【話し合いのポイント】

    この時点で結論を急ぐ必要はありません。しかし早い段階から家族の対話を重ねておくことで、いざというときに話し合いの軸がぶれたり、思いもしない方向に話が転換したりといったトラブルを防げます。

    生前整理

    親が元気なうちに少しずつ持ち物を整理しておくことも大切です。思い出の品をどうするかを本人と一緒に決めることで、親の死後、持ち物の処分・保管で悩む負担を減らせます。

    また、親が亡くなった後は、手続きなどすることがたくさんあります。荷物の整理まで手が回らないことも考えられるため、生前に整えておくと良いでしょう。

    財産分与を決めておく

    実家は相続財産の一部です。将来的なトラブルを防ぐためには、財産の分け方についてあらかじめ方向性を決めておくことが望ましいです。

    財産の分け方は、遺言書や公正証書にしておくといった方法もあります。家だけでなく、預貯金やその他の資産も含めて整理しておくと安心です。

    空き家巡回サービスへの申込

    すぐに売却や解体をしない場合でも、定期的な管理は欠かせません。遠方に住んでいて頻繁に訪問できない場合は、空き家巡回サービスを利用するという選択肢もあります。

    換気や簡易清掃、外観の確認などを定期的に行うことで、劣化やトラブルのリスクを抑えることができます。

    信託契約(家族信託)を結んでおく


    将来、親の判断能力が低下した場合に備え、家族信託を検討するのも良い判断です。

    実家じまいでは不動産の売却や管理などの手続きが必要になることも多いため、親が元気なうちに備えておくことで、万が一が生じた後でもスムーズに対応できる可能性があります。

    【家族信託とは?】
  • 自分の財産の管理や処分を、信頼できる家族にあらかじめ任せておく仕組み。
  • 親の判断能力が低下した場合でも、家族が不動産の管理や売却を行うことができる。

  • 家族信託を行っておくことで実家じまいの権利を得られるだけでなく、「実家じまいに関わる費用の判断」も、受託者となった家族が行うことができるようになります。

    たとえば実家を売却して施設費用に充てたり、リフォームや維持管理のための資金を動かしたりといったことも、受託者の判断でかなえられます。

    また、似た制度に「成年後見制度」がありますが、家族信託はそれよりも自由度が高く、柔軟な財産管理を行うことができる点も家族信託ならではの魅力と言えるでしょう。

    ただし家族信託は本人の意思がはっきりしているうちに契約する必要があります。すでに認知症が進行している場合は利用できないため、早めに専門家へ相談しておくと安心です。

    まとめ

    実家じまいは、いつかは向き合わなければならないテーマです。しかし、いざ直面すると「まだ早いのでは」「何から始めればいいのかわからない」と迷ってしまいますよね。

    東急株式会社の「住まいと暮らしのコンシェルジュ」では、不動産のお悩みはもちろん、不用品処分や空き家管理、防犯対策など、住まいに関するさまざまな相談をワンストップで受け付けています。

    実家じまいをどこから始めればよいのか迷っている場合でも、方向性から相談することが可能です。

    実家は長年の思い出が詰まった大切な場所。管理や税金といった現実的な問題もありますが、感情面にも配慮しながら家族で納得できる形を見つけられるよう、私たちがお手伝いいたします。