親の家、どうする?親の住まいを子が考える時代にやるべきこと

親の家、どうする?親の住まいを子が考える時代にやるべきこと

コンシェルジュにご相談に来られる世代は、団塊の世代と団塊ジュニア世代が多数です。そして、それぞれの世代が「親の住まい」について悩みを抱えておられます。

たとえば、団塊の世代であれば、年老いた親の住まい相続した実家の今後についてご不安を感じてご相談に来られます。団塊ジュニア世代であれば、人生の最終章を迎える親に安心して過ごしてもらいたい、という孝行心からご相談に来られます。

そこで本稿では、最近ご相談者が増えている親の住み替えや実家の相続、空き家問題について考えてみたいと思います。「親の家、どうする?」とお悩みの方の参考になれば幸いです。

今は「親の住まいを子が考える時代」です。親が元気な間に、将来どうするか親子で話し合い、プランを持っておきませんか?

親の住まいを子が相談する時代

最近、ご相談にお見えになるお客様にひと昔前にはなかった傾向を感じています。どういうことかと言いますと、親御様の住み替え相続した空き家の相談にくる「お子様世代」が増えているのです。

十数年前はその逆で「子の住まいを親が相談」のパターンが多かったように思います。ところが、今は「親の住まいを子が相談」にトレンドが変わりました。

でも、なぜこのような変化が起こったのでしょうか。

「親の住まいを子が相談」は、社会問題の顕在化



この変化の中に、日本の社会問題が如実に現われているように感じます。

そのひとつが、超高齢化です。日本のシニア層はまだ親御様がご健在で、今まさに、多くの方が親の住み替えや相続問題に直面しています。

また、日本の住宅供給がスクラップ・アンド・ビルド(建てては壊し、また建てる)を繰り返した結果、以下の問題も起こっています。

  • 住宅の長寿命化や中古住宅の活用が起こりづらい
  • 家の所有者が、メンテナンス費用をかけることに消極的
  • 次の世代が再利用しやすい状態で、既存住宅が残っていない


ひと世代ごとに新しい家を建てて住むスタイルが一般化している日本では、親世代だけでなく、子世代の持ち家率も高い状態です。

さらに、既存の中古住宅は「老朽化、耐震性不足、住みにくさ、夏暑く冬寒い」などの問題を抱えています。結果的に、既存住宅の活用が進まず、子が住み継がない家が増えているのです。

老齢の親御様がおられる方は、親の家を活用するのか売却するのか、いずれ考えなくてはなりません。活用するならリフォームを。売却するなら、親の住み替えを視野に入れた検討が必要です。

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人生の後半「どこで誰と、どのように暮らすのか?」 

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人生の後半を、「どこで誰と、どのように暮らすのか」を考えることは、自分自身の生き方の最終期を「どのように過ごし、どのように終わらせるか」を決めるために大切なことです。
自分に合う住み方を探すことは、自分の生き方を決めること、子ども任せ、他人任せにせず、早めに「終のすまい」について考えることは、大事です。

70代後半の叔母は、叔父を亡くした後、悲しみのあまり生活能力が低下しました。同居している家族から、電気やガスの消し忘れを指摘され、認知症の疑いがあるのでは・・・と病院での受診をすすめられました。

その後、叔母は自分の息子から、「家族が外出している昼間に、一人で自宅に居るのは心配だから、有料老人ホームへ入居する手配をした」と告げられました。そして、叔母は自分の希望を家族に伝えられないまま、有料老人ホームへ入居したのです。

夫の死から立ち直り、元気になった叔母が、「自宅に戻ることに息子家族が難色を示しているので、一生ここで暮らすことになってしまった」と私に電話をかけてきました。私には、その声がとても悲しそうに聞こえたのです。

叔母は、誰とどこで暮らしたかったのでしょうか。

趣味や仕事に取り組む気力のあるアクティブな叔母は、友人とゲートボールを楽しみ、美味しい食事をして、孫に囲まれて暮らしたかったようです。

自分自身に判断能力や対応力があるうちに、体力や気力が衰えた時にどのように暮らしたいのかを、家族と話合うことが大切なのではないでしょうか。

「老後は子どもが何とかしてくれる、子どもの言う通りにしていれば良い」と考えていると、自分の大切な時間を、不本意に過ごすことになってしまいそうです。

お子様が独立され、ご夫婦二人暮らしになった60代のO様から、「これから、どこで、どのように暮らしていこうか迷っている」とのご相談をいただきました。

マンションにお住まいのO様ご夫婦は、周囲に緑が多く、眺望の良いマンションが気に入っています。マンションは築30年ながら、エントランスには季節の花々が飾られ、いつもきれいに清掃されていました。管理が充分行き届いている様子がうかがえ、管理人さんが常駐しているので、セキュリティも安心です。また、エレベーターは、車椅子でも利用できる広さがあるので、足腰が弱くなった場合も対応できそうです。

集合住宅の場合は、エントランスからご自宅の玄関までの共用部分は、改修できないケースがほとんどなので、高齢期になった場合に住み続けられるか、注意が必要です。O様ご夫婦は、今お住まいのマンションでも高齢期に対応できそうと分かり、リフォームをして暮らしていくことに決めました。75㎡の3LDKの間取りを、1LDK+書斎+家事室に変更して、脱衣室と浴室の段差を解消したバリアフリーに改修しました。

「どこで誰と、どのように暮らすのか」を早めに考え始めましょう。住まう場所は、世界中にあります。人生の最後まで、気に入った場所で、心が通い合う人々と、自分らしく楽しく過ごしたいですね。

2020/12/14

日本の住宅はライフサイクルが短い

さて、現在の日本の中古住宅は「うまく再活用されている」とは言いがたい状況にあります。

ここで欧米の先進国を見てみると、住宅の寿命が日本より段違いに長いことがわかります。少し古い資料ですが、平成8年度(1996年)の建設白書に載っている住宅の平均寿命は以下のとおりです。

  • 日本:26年
  • アメリカ:44年
  • イギリス:75年


参考:平成8年度 建設白書

長寿命住宅なら「親の家」は「自分の家」でもある



このような結果になった原因は、住宅のスクラップ・アンド・ビルドや性能差だけではありません。日本で高度経済成長や生活スタイルの欧米化が進み、新築の購買意欲が高まったのも一因です。

しかし、戦後この状態をずっと続けてきたことで、多くの方から「家を住み継ぐ」という価値観が薄れてしまいました。それに伴い、中古住宅はメンテナンスされず、30年で価値を失っているのです。

一方、欧米では維持管理された良質な中古住宅が高く売れています。建物の寿命が長いので、親から子、子から孫へと住み継ぐこともできます。住み継いだ結果、子や孫の住居費がグンと下がります

もしも、日本の住宅が欧米の住宅のように丁寧に扱われるようになったら、どうなるのでしょうか。「親の住まいをどうするか」の答えも、今とは少し違ってくるかもしれませんね。

日本の家は短命で、再利用されていない



現在、日本の住宅施策は「良い家を建て、手入れして、長く大切に使う」方向に変化している最中です。脱炭素の動きもあり、住宅の省エネ性が高まっています。性能も向上しています。

このまま進めば、日本の住宅も「老齢でも住みやすく、子世代が受け継いでくれる住まい」になるかもしれません。新築より中古住宅のリノベーションに興味を持つ方が増えてきたのも、良い兆しです。

とは言え、住宅サイクルが改善するのは、まだ先の話になりそうです。むしろ現在は、使われなくなった家が起こす「空き家問題」が深刻な状況です。

親の家が「空き家」になる!?

今後、親の家について考えるとき、日本中でトピックになりそうなのが「空き家問題」です。

現在、日本の住宅は供給過多で、全国的に家が余っています。世帯数は2025年ごろをピークに減少が予想され、人口は都市部に集中すると見られています。

この状況が進めば、地方を中心に空き家が増えることは想像に難くありません。実際、国土交通白書によると、2033年には総住宅数に対する空き家の割合が「30.2%」に上昇すると予測されています。

参考:国土交通白書 2020

活かしてこそ、資産



資産は「活かすもの」です。もしも、あなたが親御様の家を相続されるのなら、再活用の予定がないまま空き家で放置するのは避けたほうが賢明でしょう。一部の都市部を除き、年々売りにくくなります。

活かすなら、リフォームと居住、または貸すことをご検討ください。人が住まない家屋は、劣化が進みます。放火や不法侵入のリスクもあります。住まなくても、管理費や固定資産税などのコストが発生します。

売却をご検討されるのであれば「相続税の取得費加算」が適用される「相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日まで」がいいでしょう。譲渡所得税の節税ができます。

参考:相続財産を譲渡した場合の取得費の特例

迷ったら、専門家に相談



ひと昔前とは違い、親の住まいをとりまく問題は複雑化しています。相続や空き家問題、住み替えなど、どうしたらいいのか分からず悩んでおられる方が、少なくないでしょう。

親の住まいをどうするべきか迷ったら、ひとりで不安を抱えず、経験と知識が豊富な専門家に相談してみませんか?お気軽に、ご活用いただきたいと思います。

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親・子、両方の想いと立場を抱える団塊の世代

先述のとおり、最近は「親の住まいを子が相談」にいらっしゃるのですが、子世代といってもご年齢が50代半ば~70代半ばくらいの方々です。

ですから「子たちには、迷惑や心配をかけたくない」とか「自分が元気な間に、相続問題が起きないように準備しておきたい」と、ご相談中にご自分の後の世代を想う親心も顔を出してきます。

その一方で、ご自身の親の住まい問題が思うように進展せず「老いては子に従ってほしい、のですがねぇ」と、子としてのご苦労をこぼされます。

先ほどまでの「老いては子に従ってほしい」のお気持ちとは別に「今どきの若いヒトは……」と、ご自分より若い世代に対するぼやきも聞こえてきます。

思い立ったが吉日



このように、50代半ば~70代半ばでも子としてご相談に見える方々ですが、お話を伺う中で親の立場と子の立場を行ったり来たりすることも多々あるのです。

シニアは、やっておきたいことが山積でありながらも、気力の衰えを感じ始めるころ。自分が元気な間に、将来どうするのか親子で話し合い、プランを持ってみてはいかがでしょうか。

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40歳代・50歳代ともなれば、それぞれの親御さんもそれなりの年齢になり、健康面はじめさまざまな心配ごとが増えてくるのではないでしょうか。

高齢の親と離れて住んでいる子どもからは、今のところは元気で、特別な支援を必要としていないけれども「いつ何があるかわからない・・・いざというときどうしよう・・・」そのような不安の声をよく聞きます。

しかし親が元気でいるうちは「もし介護が必要になったらどうするか・・・」といった話題は、親子間でも急には切り出しにくいものです。

まず大切なのはコミュニケーションの取り方です。頻繁に電話をしたり帰省の回数を増やしたりし(今でしたら、オンライン帰省などの方法もありますね)以前より長い時間を親と接してみることで、自然な会話も増えてくるのではないかと思います。

そこでここでは、帰省時などに確認しておきたいポイントを次の通りまとめてみました。

【生活環境】
1日・1週間の生活パターンや、困っていることなど
【趣味や嗜好】
楽しみや好きな食べ物など
【周囲の環境や地域とのつながり】
友人・知人の方の連絡先など
【健康状態】
かかりつけ医師、既往症、食事のとり方など
【経済状況】
毎月の生活費など
【財産状況】
預貯金残高、株式、保険、年金、借入など
【重要書類の保管場所】
保険証、証券、通帳、印鑑、権利書、遺言書など
【老後の生き方】
要介護となった場合、誰とどのように暮らしたいのかなど

いろいろ確認して「まだ大丈夫」と思っても、親が突然入院したり介護が必要になったり、ということも十分にあり得ますので、早いうちから確認をしておくことをおすすめします。

「地域包括支援センター」といきなり言われても馴染みのない名前かもしれませんが、介護を考え始めたときに、要介護の申請に足を運ぶ場所として耳にされたことがあるのではないでしょうか。実はそれ以外にも介護が必要になる前から色々な相談にのってくれる場所でもあります。

地域によって呼び方は異なりますが、お住まいの市区町村に設置されています。
地域包括支援センターは、地域の高齢者(65歳以上)の総合相談窓口で、福祉、介護、生活に関することなど幅広い相談に応じています。また、地域の支援体制づくりや介護の予防のために必要な援助などを行い、高齢者がいつまでも住みなれた地域で安心して暮らしていけるよう多面的な支援を行います。

まずは親が住む場所の地域包括支援センターに、親子で足を運んで相談してみるのはいかがでしょうか。漠然とした心配事から相談にのっていただけます。
また、時間があれば、介護予防のために利用できる地域の各種サービスや介護保険のしくみなどの情報収集も事前に行っておくとよいでしょう。「いざ」というときに安心です。

東急株式会社 住まいと暮らしのコンシェルジュでは、自分や親のこれからを考えるための「終活セミナー」を開催中です。ご好評につき、1月30日(土)に追加セミナーも開催いたしますので、どうぞお役立てください。

2020/12/28

親の家、どうする?悩んだら、住まいと暮らしのコンシェルジュ

コンシェルジュは、建築士や宅建士の資格を持つプロとして実務経験や知識を活かし、お悩み解決のお手伝いしています。しかし、それだけではご相談者様と伴走することはできません。

私たちコンシェルジュは、お住まいに関するご相談を伺うとき、常に気を付けていることがあります。すなわち「住まいに関することは、単に住まいの問題だけではない」と意識することです。

先ほど申し上げたように、ご相談者は「子・親・夫・妻・兄や姉・弟や妹」など、その人生の中で様々な役割を担っておられます。ですから、いろんな立場のお気持ちがない混ぜになって、悩まれるのだと思います。

コンシェルジュは第三者ではありますが、お客様のお話を丁寧に伺い寄り添いたいと考えています。ですから、お客様が模索されている課題において、頼れる相談相手となるべく日々努めております。

気兼ねなく心の内をお話いただくことで、お客様ご自身で進む方向性を見出される方もいらっしゃいます。まずは、東急株式会社「住まいと暮らしのコンシェルジュ」でお話してみませんか。

スタッフ一同お待ちしております。

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コンシェルジュへのご相談について

コンシェルジュへのご相談について

お客様はどうして 住まいと暮らしのコンシェルジュ(以下、コンシェルジュ)にご相談されるのでしょうか。

例えば、リフォーム相談にご来店されるお客様の多くは「手順が分からない」「価格がわからない」「アドバイスが欲しい」「リフォーム会社へ行くのは気が引ける」など。
ネット検索すれば解決の糸口くらいは何となくわかりますが、実際やったことが無い事は進めづらいものです。また、多少なりともご不安を感じているのではないでしょうか。

コンシェルジュでは「住まいや暮らしについて無料でご相談に応じます。」とお客様へご案内しておりますが、具体的にはご相談以外に「複数のリフォーム会社を無料でご紹介」「ご希望があればご紹介会社との打合せ同席」「過剰な営業攻勢の防止」「ご紹介会社へのお断り」など、お客様とご紹介会社の間に入り、ストレスなく思い描いたご希望を具体化するお手伝いを行っております。

また、ご利用頂いたお客様にアンケートをお願いしていますが、以下のようなお言葉を頂いております。
・丁寧で押しつけのない説明。
・相談内容をよく聞いてくれた。
・質問にきちんと答えてくれた。
・打合せに付き添ってくれて心強かった。
・紹介会社との連絡、日程調整を代行してくれ助かった。
・紹介会社との間に入っていただき安心感があった。

コンシェルジュ以外にも相談サービスを行っている会社がありますが、ご紹介先はグループ会社だけだったり、複数社の紹介をしてくれるだけ、ネットで一括見積りをすれば営業攻勢に悩まされるなど、事前にわかっていれば良いのですが、そうでなければ期待外れに終わります。

折角のリフォームです。
お客様が後悔しないように、適切なご相談先をお選び下さい。

2020/03/01

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