リフォームは新築より安く済むイメージを持っておられる方が、少なくないでしょう。既存の建材や住宅設備を再利用できるのですから、コストを下げられそうですよね。
たしかに、リフォームは新築より低予算で済ますことができます。しかし、ご要望を積み重ねていくと、あっという間にご予算をオーバーしてしまいますので、ご注意ください。
では、予算オーバーを防ぐには、どうすればいいのでしょうか。万が一、予算オーバーしたときにはどのようにコストダウンすればいいのでしょうか。
本稿で、その方法をご紹介します。リフォームをご検討中の方は、ぜひ最後までご覧ください。
リフォーム費用を抑えて安くする方法
最近、あえて中古物件を購入して自分好みにリフォームされる方が増えています。おうち時間が増えた今、長年住まわれたマイホームをフルリフォームしたいとお考えの方も少なくないでしょう。
しかし「お風呂・トイレ・洗面台はすべて交換。キッチンは流行りの対面式に。床はフローリングに貼り替え。ドアも交換して印象を変えたい」とご要望を積み重ねていくと、費用が気になりますよね。
実際、リフォームでは予算オーバーしてしまうケースがよくあります。そんなとき、どうすれば予算内に収めることができるのでしょうか。ポイントを4つ、ご紹介します。
- 要望の優先順位を決める
- 値下げ交渉をする
- コストダウンする
- 減税・補助金制度を活用する
それぞれ、詳しくご説明します。
1、要望の優先順位を決める
限られた予算内でリフォームするなら、要望の優先順位付けが必須です。優先順位が明確であれば、適切かつメリハリのある予算配分ができます。
まずは、どうしても叶えたいことや交換する必要があるものを優先しましょう。たとえば、10年以上使っている給湯器が不具合を起こしたなら、修理より交換したほうがいいでしょう。
交換することで得られる便益にも注目してください。たとえば、古い水まわり設備を最新のものに交換すると以下のメリットが得られます。それによって生活上の問題が改善するなら、交換する価値があるでしょう。
- 使い勝手や機能性が向上する
- 掃除や維持管理がしやすくなる
- エコ仕様で光熱費の節約に役立つ
一方で、フローリングや建具の交換についてはどうでしょうか。新しくするのは魅力的ですが、それが「どうしても叶えたいこと」でないのなら、クリーニングや補修で済ませてもいいかもしれません。
ちゃんと要望に優先順位を付けている方は、予算オーバーした場合でも、優先順位を基準に取捨選択ができます。自分にとって余分な工事は、前向きに諦められるのです。
2、値下げ交渉をする
リフォーム会社に値引きをお願いすれば、工事内容を見直すことなく費用を抑えられます。ただし、値引きは手抜き工事の原因にならないとも限らないので、誠実なリフォーム会社であるかどうかの見極めが欠かせません。
リフォーム会社に、コストを削減する方法がないか尋ねてみるのも良い方法です。一般の方では気づかない、工事のプロならではの「コストダウン方法」や「優先順位」を教えてもらえるでしょう。
3、コストダウンする
先述のとおり、値引きには「手抜き工事を招きやすい」というリスクもあります。ですから「値引きではなく、コストダウンのほうが安心だ」と感じる方もおられることでしょう。
そこで、リフォームのコストダウン方法やコツを4つご紹介したいと思います。
- 工事内容を見直す
- 使用する建材のグレードを見直す
- まとめてリフォームする
- 工事内容にあった施工業者を選ぶ
それぞれ詳しくご紹介しますので、リフォーム費用削減の参考にしてください。
コツ1:工事内容を見直す
リフォームの長所は、既存のものを活かせるところにあります。一方、短所は解体・撤去費用がかかるところです。つまり、できるだけ解体を減らし既存のものを使うと、リフォームは安くなります。
たとえば、屋根を葺き替える場合。既存の屋根材を解体せず上から重ね張り(カバー工法)にすることで、撤去費用を大幅に削減できます。このような施工方法の見直しは、コスト削減に有効です。
建材や設備の取り替えをやめ、使用中のものを再利用することも検討してみましょう。古めかしいキッチンでも、面材を貼り替えるだけで現代風にできます。交換は、コンロだけで済むかもしれません。
SDGsや脱炭素に注目が集まるご時世ですから、ものを長く大事に使うことは、時代の流れにもマッチしています。
コツ2:使用する建材のグレードを見直す
仕上げ材(壁紙やフローリングなど)や水まわりの住宅設備は、品質・デザイン・機能等による複数のグレードがあります。リーズナブルなものに変更できないか、検討してみましょう。
価格は定価だけを見ず、割引率にも注目してください。汎用品やベーシックなグレードは値引率が高い傾向にあるので、コストダウンを図る際は積極的に使いたいところです。
なお、値引率はリフォーム会社によって違います。相見積もりを活用して、比較検討していただくとよいでしょう。
コツ3:まとめてリフォームする
何度も断続的にリフォームを繰り返すより、1回にまとめて施工するほうがお得になるケースがあります。リフォーム会社からしっかりアドバイスをもらい、どこまでやるのが適切か判断しましょう。
たとえば、屋根と外壁の塗り替えは、まとめて施工すると足場の設置が1 回で済みます。現場管理費や職人の手間賃も低減が期待できるので、可能な限り同時に実施したほうがよいでしょう。
コツ4:工事内容にあった施工業者を選ぶ
建築関連の会社は、それぞれ得意技を持っています。得意な工事は合理的に施工できるので、価格が下がり、ミスも減る傾向にあります。
一方、不得意な工事を無理にさせると、施工の際に余分な時間がかかり職人の手間賃が増えます。仕入れコストが高くなるうえ、ミスも起きやすいので、良いことはほぼありません。
ですから、工事内容にあった施工業者を選ぶことは、コストダウンを図るうえでとても大切です。
4、減税・補助金制度を活用する
リフォーム工事は、一定の要件を満たすと減税制度が利用できます。
とくに「耐震改修・バリアフリー改修・省エネ改修・増改築」を検討されている方は、チャンスです。以下の減税が利用できるかもしれませんので、制度の詳細を確認してみましょう。
- 所得税の控除
- 固定資産税の減額
- 贈与税の非課税措置
- 登録免許税の特例措置
- 不動産取得税の特例措置
参考:住宅リフォーム推進協議会「リフォームの減税制度」
国や自治体が実施する補助金制度が利用できる場合もあります。テレワーク対応リフォーム助成制度等、時流に合わせた補助金制度もありますので、お住まいの地域の制度を確認してみてください。
参考:地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト
なお、減税制度や補助金制度は、国や自治体が「あなたのリフォームは、この制度が使えます」とか「もうすぐ予算がなくなりそうです」などと、親切に案内してくれることはありません。
できるだけ減税や補助金制度に詳しいリフォーム会社に依頼して、アドバイスを受け、利用し忘れがないようにしたいところです。
リフォーム費用を削減できた事例
つづいて、実際にあった「リフォーム工事の予算オーバー事例」をご紹介しましょう。どのようにコストダウンしてリフォームを実現したのか、順を追ってご説明します。
築25年の中古物件を購入して自分好みにリフォーム
築25年のマンションの購入をご検討中のお客様から、コンシェルジュにご相談をいただきました。お客様のご要望は、以下のとおりです。
- 内装は「フローリング・壁紙・建具」を交換したい
- 水まわりは「キッチン・お風呂・トイレ」を交換したい
- キッチンは壁付式から対面式に変更したい
リフォーム会社にご予算を伝え、まずはご要望をすべて網羅したプランを提案していただきました。しかし、出てきたお見積もりはご予算を100万円ほどオーバーしていました。
要望が網羅されたプランは、とても魅力的です。しかし、予算内で収めることをお客様が強くご希望されていたので、リフォーム会社に頭をひねってもらうことになりました。
リフォーム会社からのコストダウン提案
リフォーム会社は、お客様の要望の優先順位を考慮して、さまざまな提案をおこなってくれました。
たとえば、キッチンを壁付式から対面式に変更すると床材の貼り替えが必要になります。それをフローリングにするのではなく「クッションフロアにして費用を抑えてはどうか」と提案がありました。
最新のクッションフロアはフローリング調やタイル調など種類が豊富で、空間のイメージに合わせてコーディネートできます。水や汚れに強いので、キッチンの床材に適しています。
建具についても、すべてを交換するのではなく、1室だけ変える提案がありました。たとえば、リビングのみインパクトあるデザインのドアに交換すると、他の部屋とテイストが変わり素敵になるのです。
無事、ご予算内に収まる
予算オーバーを解消するには、もうひと工夫必要でした。そこで目を付けたのが、既存のフローリングです。
リフォーム会社から「気になる傷の補修のみでも十分ではないか、もったいないのでは」とアドバイスがありました。既存のフローリングは上質で、しかも貼り替えから10年くらいしか経っていなかったのです。
キッチン以外は剥がすのをやめ、既存のフローリングを再利用すれば、かなりコストダウンできます。幸いフローリングの色調は、お客様がご希望されているお部屋のイメージにも活かせそうでした。
リフォーム会社から出てきた提案をもとにご家族で再検討された結果、無事ご予算内に収めることができました。
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目安になる予算は、店舗での経験でいうと「物件価格の1割~2割」をリフォーム金額に充てる方が多くいらっしゃいます。3,000万円の物件の場合は300~600万円、5,000万円の物件の場合は500~1,000万円という目安です。価格が1割の方は、水廻りの交換もしくは内装工事のいずれか、2割の方は水廻りの交換+内装工事というイメージです。フルリノベーションと呼ばれる、マンションを部屋の壁裏、床下、天井裏といったところから全部壊す「スケルトン」という方法や、それに近い工事の場合は1,000万円前後が目安になります。
もし、5,000万円の予算で物件の購入金額+リフォーム代金をお考えであれば、①4,000万円のマンション購入費+フルリノベーション ②4,500万円のマンション購入費+部分リフォーム といった選択肢で検討することがひとつの目安になります。
また、中古マンションを買ってリフォームをしたかったのに、物件価格が予定より高くなりリフォーム費用が圧縮されてしまった、でもリフォームしたい!という場合には壁紙の貼り替えだけでも実施するのがおすすめです。70㎡3LDKで全室の壁紙を貼り替えた場合、おおよそ50万円前後が目安ですから、限られた予算でも雰囲気を一新することができます。その際に、アクセントクロスを用いることもおすすめです。アクセントクロスとは、部屋の一部の面に他面と違う色のクロスや柄物を貼ることです。オリジナリティーが生まれより愛着のあるマイホームになると思いますよ。
2020/03/01
リフォーム2020/03/01
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2020/03/01
リフォーム2020/03/01