相続登記変更前の空き家は解体できる?

相続登記変更前の空き家は解体できる?

台風で被害に合われた皆様、心よりお見舞い申し上げます。

次から次と押し寄せる台風に困惑の秋です。
最近は雨漏り等のご相談をいただくことが多く、リフォーム会社も対応に追われている状況です。
台風の時自宅はともかく、空き家になったご実家が心配だった方もいらっしゃったのではないでしょうか。
交通網もストップし、避難警報が鳴り響く暴風雨の中、様子を見に行くことは困難でした。


空き家になった実家を解体できますか?

今回の台風は、豪雨や強風により、浸水、冠水の他、屋根や外壁が剥離、窓ガラスの破損、建物の傾きや設備の老朽化による倒壊など甚大な被害が出ました。
また空き家はこのような災害時に、危険を及ぼすことになりかねません。

先日このような問い合わせがありました。

「まだ相続の手続き前で登記を変更していないのですが、空き家になった戸建の実家は解体できるのでしょうか?」

所有者であるご両親が生存していて、認知症で判断能力がない場合は、後見人の許可がいるなど手続きが非常に大変なのですが、相続発生によるこのケースですと、解体はできるのです。


ご注意いただきたい点

ただし、以下の点にご注意ください。

① まだ住宅ローンが残っていて、建物に金融機関などの抵当権が設定されている場合の解体は、抵当権者の事前の承諾が必要になります。ローン等はなくても抵当権抹消登記が忘れられているケースもあります。その場合も抵当権者の承諾が必要ですので注意しましょう。

② 建物を解体したら1か月以内に建物滅失登記をする必要があります。(不動産登記法57条より)
この登記を怠ると10万円以下の過料に処される場合がありますし(不動産登記法164条より)、建物に対して引き続き固定資産税が課税されてしまいます。
この登記は、管轄の法務局にて無料で申請可能です。申請書は法務局のHPからダウンロードすることも可能です。登記簿謄本を取得される場合は所得費用(1通1,000円程度)が必要になります。

③ 建物滅失登記は、まだ相続登記をしていない場合も相続人の一人が申請できます。取り壊す建物の名義を相続人名義に変える必要はありません。
ただし、相続人が複数いる場合は、取り壊すかどうかきちんと協議をした上で行いましょう。全員の同意を得ずに進めてしまうと、後々トラブルになる可能性があります。


建物解体費用ローンを利用する方法も

地方銀行やJA、信用金庫などの金融機関では「建物解体ローン」を取り扱っています。
借入金額はだいたい300~500万円位まで、金利は1.5%~2%台のようです。
費用の面で躊躇されていた方は、低金利のうちにローンを利用するという方法もあります。

解体をすると更地になることにより、土地の固定資産税は最大6倍になりますが、いざ売却という時に要件を満たせば3,000万円の特別控除の適用が受けられます。

それはどのような要件でしょう?


相続等により取得した空き家を譲渡した場合の3,000万円特別控除

2023年12月31日までに、相続、遺贈により取得した空き家を一定の条件に基づき売却した際、譲渡所得から3,000万円を特別控除する制度です。

・相続日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに第三者に譲渡すること
・昭和56年5月31日以前に建築されたこと
・売却代金が1億円以下であること
・耐震性のない場合は耐震リフォーム(なかなか難しいですね!)をするか、取り壊し更地にすること
・相続開始の直前において、被相続人以外に居住している人がいなかったこと(一定要件のもと老人ホーム等に入居していた場合も対象)


詳しくはこちらをご覧ください。
国税庁:No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm

国土交通省:空き家の発生を抑制するための特例措置https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000030.html

気を付けなければいけないことは、例えば「両親が亡くなって3年超放置しておくと、3,000万円控除は使えない」ということです。
また、「耐震リフォームをしてから引き渡す」というのはあまり現実的ではありませんから、大半が更地にして引き渡すことになるのです。

ご自身のみでは決められず、ご兄弟など相続人同士での協議になるかと思います。この機会に方向性を話し合われてみてはいかがでしょうか。

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