【実例紹介】母の高齢者施設選び<後編>

【実例紹介】母の高齢者施設選び<後編>

前編では、母の異変から施設選びまでをご紹介しました。後編では、前回お伝えしきれなかった事も含めて、時系列の流れをまとめてみました。シニア施設選びの進め方の一つの参考になればと思います。

|コラム|【実例紹介】母の高齢者施設選び<前編>

3月上旬:母の状態を目の当たりにした日

施設を探したくても、既に母を一人にしておけない状態でした。ショートステイ(*)のように1カ月~2カ月ほど預かっていただける施設探しをしなくてはと思っていたところ、ケアマネージャーが調整してくださり、施設入居までショートステイにお世話になることが出来ました。

*ショートスティは在宅介護中の高齢者が一時的に介護が必要になった場合など短期的に入所し、介護・支援が受けられるサービスです。
連続して30日まで。やむを得ない理由がある場合、期間を超えて利用できる場合があります。

私が至急しなければならなかったことは
■施設を紹介してくれる会社へ連絡をとり、施設の紹介・見学を依頼する。
■実家への次回帰省タイミングで再度、妹夫妻との打合せアポイントを取る。
の2点です。

限られた時間の中、何を優先して行動するかを即決する必要がありました。

3月中旬:施設見学など4日間

【初日】
母に会いにショートスティ先を訪問したところ、案外元気になっていました。久し振りに外で一緒に昼食を取りながら、施設への入所を再度確認しましたが、やはり一人での生活は難しいので入所を希望すると明確に返答が返ってきました。

【二日目】
丸一日をかけ施設4カ所を見学しました。
(詳しくは前編後半の「俗に言う、百聞は一見に如かず」をご一読ください。)

|コラム|【実例紹介】母の高齢者施設選び<前編>

【三日目】
妹夫婦と予定していた打ち合わせを行い、3点を確認しました。
① 一番大事な母の意向
② 見学した施設の感想と費用
③ 今後必要になる母のおよその介護費用、資金計画、万が一の時は兄妹で助け合う事

前回と同じく妹夫婦は快諾してくれました。

その時に聞いたのですが、妹夫婦はショートスティ先に面会に行っていたようで、母の状態と意向については把握してくれていたようです。

家族全員の意思が確認できたところで、ここへお願いしようと決めていた「サービス付き高齢者向け住宅(以下「サ高住」と称する)へ入所希望を電話でお伝えし、明日にでも手続きをしたいと申し込みしたところ、快く引き受けていただきました。

【四日目】
まずサ高住へ行き、入所手続きについて、運営法人から以下3点の説明を受けました。
① 入所に掛かる費用について
② 必要書類について
 目を通さなければならない書類がたくさんあり、署名捺印が必要な書面は持ち帰りとしました。
③入所時に持参しなければならない物について
 手持ちで揃えられない物を購入できるように、近隣のホームセンターまで教えてもらいました。

尚、知らなかったのですが、カーテンは防炎のものでなければダメでした。

次に自宅に戻り、雑多な手続きや確認を行いました。具体的には次のようなことです。
■サ高住への提出書類送付及び入所審査結果待ち。
無事審査が通過したと連絡を受けたので、費用の一部を振込。
■ケアマネージャーから、宅配弁当やデイサービスなどの支払いが滞っていると連絡を受けたので、各社へ金額確認と支払い日程の確認。 
■ショートスティ先へ母を迎えに行く日程調整と、清算金額の確認。
■固定電話移設手続き。
叔母から母と連絡が取れないがどういう事かと連絡が入り、事情を説明したところで、電話の移設が必要なことに気が付きました。(母は携帯電話を持っていません)
■入所に必要な物の購入。

4月上旬:母の引越しなど、3日間

【初日】
サ高住の居室に生活用品を搬入しました。
まず事前準備した荷物の搬入をしてから実家に行き、テレビや仏壇(リビングに置く小さなものですが結構重い)などを運び出しました。そして、サ高住に向かう途中でホームセンターに寄り、追加で必要な物品を購入しました。全てを居室へ搬入し、室内のセッテイングをしたところで一日が終了しました。

【二日目】
母の引越しをしました。
午前中にショートスティ先へ母を迎えに行き、そちらの費用を清算してから、サ高住へ引越しました。
午後からは、母が必要としている衣類とお気に入りの物を実家へ探しに行きました。同時に、支払いが滞っている各社のご担当者様(定期的に頼んでいた宅配弁当、デイサービス、出前ほか併せて6社ほど)に実家に来ていただき、清算を済ませました。その後、サ高住に戻り部屋の片付けをし、不足している物が無いかを再確認しました。
一人で居住するため最低限の物で良いのですが、新居への荷物の搬出入はとても大変です。

【三日目】
後片付けをしました。
連日の体力仕事に疲労も限界レベルになっていたので、簡単に実家の部屋の片付けと、サ高住の部屋で母が気に入るようにテレビ、仏壇、衣類ケースなどを再配置して半日を過ごし、多少なりとも母が落ち着くのをみて自宅へ帰る事にしました。

こうして母は、新しい住まいへ無事に引越しました。

今回のサ高住への入所は約1か月で完了しましたが、今から思うと次の点で運が良かったかもしれません。
■母も良く知っている場所に施設があり、空き部屋があった。
■母と私達兄妹の考えがスムーズに一致した。
■資金的に多少恵まれていた事(平均寿命で何とか大丈夫。不測の事態が起これば少し手を打つ必要はありますが…)。

また、次の協力者の存在は不可欠でした。
■シニア施設紹介のプロ。
■母の状態を目の当たりにした日から一緒に行動してくれた妻(一人では無理です)。

此方の都合よく物事が進みましたが、本来であれば母が体調を崩す前から準備は必要であり、もっと前から「介護の基本」「高齢者施設の違い」を調べておくべきだったと思います。

それと、準備の一つとしてマイナンバーカードの作成をお薦めいたします。施設等の手続きの際に、母の住民票・印鑑証明などを取得しなければならず、本人や手続きをする親族の身分証明の提示が必要な場面が多くありました。本人が元気であれば問題ないのですが、親族等の援助が必要になった時には周りの方の負担が大きくなります。まだ作成されていない方は検討されると良いでしょう。

いかがでしたでしょうか。
今回は周囲の方々の助けを得ながら、高齢者施設選びを進められましたが、いざ一人で考えるのは本当に大変だと思います。
そんな時に、コンシェルジュでも施設探しのプロをご紹介するなど、サポートできることがございますので、気になり始めた時には是非一度ご相談にいらしてください。

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【実例紹介】母の高齢者施設選び<前編>

【実例紹介】母の高齢者施設選び<前編>

父の死去から2年程経った頃、遠方で一人暮らしの母より「家財道具・衣服・現金が盗まれた」と電話が入るようになりました。その都度、思い違いで何も盗まれていないと説明するのですが、同じ話の繰り返しで埒が明きません。遂に自分も親の痴ほう症と向き合う事になるのかと、薄々考えはじめたところでした。

そこへ、ケアマネージャーから今後の方針を打合せしたいので帰省出来ないかと連絡を頂き、電話口で状況を伺うと、母の気力・体力の低下が著しく、今対処しないとこのまま寝たきりになっても仕方が無い様な状態だとのこと…

急遽、実家のある関西に帰省して暮らし振りを見てみると、以前ならヘルパーさんの介護で何とか自立した生活をしていたのに、それが今は食事を取ろうともせず、部屋の中は散らかし放題、一日中寝ているという様子でした。

母にこれからどうしようかと尋ねると「一人で自宅で暮らすのは限界だから、何とかして欲しい」という返答でしたので、施設への入所を提案したところ、「任せる」と言ってくれたのですが、私自身どうすれば良いか分かりません。

そこでケアマネージャーに電話をして、自宅介護のやり方を検討するより、一刻も早く施設を探したいと相談してみましたら、それも選択肢の一つだと肯定的な回答を頂きました。

私には妹が一人いますので、母の施設入所についての同意を取るため、
①母の状態 
②母の資産と年金額 
③平均寿命から施設等に毎月使えるお金 
④金銭的に困った場合にお互い助け合う事
この4点を妹夫婦へ説明したところ、妹も母のことを気にしていたようで二つ返事で賛成してくれました。

②については、父の相続から余り時間を経過していなかったため、通帳記帳でスムーズに把握できましたが、年金額を確認するのは、親のこととはいえ何故か少し気が引けたものです。

帰省ついでに市役所内の地域包括支援センターへ出向き、現在の状況、目指したい結果を伝えたところ、とんでもなく数多くの施設が記載された一覧をいただけたのですが、その膨大なリストを見ても具体的な事は分からないので、その中から探し出すことは諦めました。

インターネットでの検索もしましたが、矢張り表面的なことばかりで、これも諦めました。

そこで、いろいろな老人施設を紹介してくれる会社がある事を思い出し、連絡してみると、関西にも事務所があるので対応できる旨の返答をいただき、さっそく母と面談をすることになりました。面談では此方の希望を聞くというより、母の状態、経済的な事、希望するエリアを上手く聞き出して下さり、その条件に合いそうな施設を幾つか紹介していただく事になったのです。

後日、希望に近い10施設の紹介を受け、内4件の現地見学を希望したところ、1日で全て見学できるようスケジュールを組んでくれました。

施設を見学して思ったことですが、やはり実際に見に行って、はじめて分かることが沢山あるものです。とある大手が運営する施設は、期待していたものの、清掃が大雑把な様で清潔感が無く感じられてしまい、ある準大手の施設では対応して頂いた方の説明が少々分かり辛く、言い間違いが幾つかあり、たまたまその施設やその担当者がそうだったのかもしれませんが、安心して母をお任せするのは難しいなと感じてしまいました。

最後に伺った施設の所在は申し分なく良かったのですが、小規模な会社が運営していましたので正直余り期待せずお伺いしました。訪問してみると、施設長、事務長のお二人の熱のこもった説明と勤務する方全員の明るい挨拶があり、清掃も行き届いており、施設全体が清潔で非常に好感が持てました。

見学を終え、すぐさま妹に見学の感想と私の考えを伝えたところ、母と私が良ければ何も言う事は無いとの返事で、母も異存は無いと言うので、この小規模な会社が運営する施設に入居する事を決心しました。

今回、不動産購入でも必ず物件を見なければ分からないように、老人施設も実際に見なければ分からないものだなと率直に思ったのと、施設選びはサポートしてくれる方がいれば、随分と楽で早く探せるものだと実感しました。コンシェルジュでは、このように数多くの老人施設からご要望にあった物件をピックアップしてくれる専門会社と提携しております。遠方にお住まいのご両親の施設探しも、少しでも効率的に進められたら助かりますよね。

続きがあるのですが、長くなりましたので次回にお伝えできればと思います。

2021/07/19

暮らし

2021/07/19

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一人暮らしの母の体験

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「私は、だまされることはない。私は、詐欺に引っかかることはない。自分は大丈夫!」と過信していませんか。
いつもの毎日、安全な家のなかでも詐欺に遭ってしまう現実があります。
それは、一人暮らしの母への突然の電話から始まりました。

「郵便局の者ですが、あなたの通帳に不正な入金がされていますよ。」と何やら不安をあおる口調です。

その後タイミングよく警察を名乗る人物から「キャッシュカードを不正利用した入金があります。
私が銀行協会へ連絡しておきますね。」と電話が入ります。

なんて親切な対応かしら、と思ったところへ「銀行協会ですが、キャッシュカードの不正利用を防ぐため、新しいカードを作成しますね。暗証番号を教えてください。こちらから担当の者を行かせますので、銀行や郵便局等のすべてのカードを用意しておいて下さい。」と指示されます。

ほどなく自宅に訪ねてきた担当者に、母はキャッシュカードを手渡してしまったのです。

夜になって、母から「昼間あなたに電話したけれど、つながらなかったから、自分で対応できたわ。銀行口座が不正に利用されていたけれど、銀行協会の人にカードを渡したから、大丈夫よ。」と連絡がありました。
「それって、詐欺じゃないの?」と伝えても、まったく信じません。

次々とかかる電話に対応しているうちに、母の判断能力が衰えてしまったようです。計算された犯人グループのシナリオを信じてしまい、暗証番号とキャッシュカードをだまし取られ、近くのコンビニで一日で引き落とせる限度額の預金を引き落とされてしまったのです。

その後しばらくは「どうして、こんなことになってしまったのかしら」と落ち込んでいた母でした。
悪いのは、次々と新しい手口で現金をだまし取ろうとする詐欺グループです。
しかしながら、私たちも対策を講じなければなりません。

急がせる用件は、一呼吸おいて対応するようにし、電話は常に留守番電話にしておくことを徹底することにしました。
また、母へは以前よりも頻繁に、私から様子伺いの電話をするようにしている毎日です。

2020/03/01

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2021/07/19

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高齢化が進む今、夫婦二人暮らし、または一人暮らしのシニアも増えてきました。
しかし、高齢の親や親族をお世話したくても、「離れて暮らしている・・・」「同居しているけれど仕事がある・・・」と、いろいろな理由から常に一緒には居られず、離れた距離で心配しているという方も多いのではないでしょうか。
高齢になるにつれ、心配ごとは増えていきますよね。
そんな家族のニーズを受けて、高齢者を対象としたさまざまな安否確認サービスが登場しております。
まずはどんな見守り・安否確認サービスの種類があるのかを見ていきましょう。

【センサー型】
センサー機器を設置して、お住まいの方の安否確認を行うことができます。センサー機器は居室やトイレ、浴室に設置するのが一般的ですが、ここ数年では家電製品をはじめ、ホームセキュリティと連動させるタイプのものもあります。
しかし機械を通じて、居住者と通話などのコミュニケーションをとることはできません。

【カメラ型】
簡易カメラを設置して、24時間状態を確認できます。中には会話も可能な機能がついているものもあり、コミュニケーションもまめにとれます。しかしプライバシーの問題がありますので、いつも監視されてると考えてしまう方には負担になります。

【電話型】
決められた時間に電話がいき、健康状態や安否確認が行われます。オペレーターが対応するものと、自動音声で流れるものがあります。手軽でシンプルなので使いやすいです。しかし耳の聞こえにくい方には向きません。

【訪問型】
定期的に自宅に訪問し、安否確認を行います。訪問担当者が直接会って話すことで、健康状態や生活状況などを確認できるので、安心感はあります。また人と会う機会があることで、高齢の方にとっては孤独感を軽減できます。しかし定期的な訪問なので、緊急時の対応が遅くなることがあります。

【宅配型】
食事などの配達サービスがあります。食事の宅配時に、併せて体調の変化や安否確認も同時に行います。食事も栄養バランスを考えた献立を取り入れ、柔らかいものなど高齢者向けに調理されていて、お好きなメニューから選べます。
しかし、安否確認などは補助的な役割になっており、上記の「訪問型」ほどには細かくは行えません。

【通報型】
ペンダント型などの身に着ける発信機を押したり握ったりすることによって通報するシステムです。緊急時の通報により、警備員が駆け付け安否確認など行う複合的なサービスを、24時間の見守り体制で行います。急病の時だけではなく、何かあった時も駆けつけてくれるという安心感があります。しかし、突然意識を失うなどして自分自身で通報できない状況であった場合には、発見が遅れてしまう可能性があります。

見守りサービスは近年多様化してきて、どれがあっているのか迷う方も多いでしょう。
まずは、選ぶポイントとして大切なのは、ご本人や家族のニーズに合っているかどうかです。
状況・希望を整理し、使い勝手や費用など含め、ご家族みなさまでよく話し合ってみてはいかがでしょうか。

みなさまが毎日を安全に、そして安心して暮らせることを願っております。

2020/06/05

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