家とクルマで災害に備える「V2H」とは? 

家とクルマで災害に備える「V2H」とは? 

地震や台風など、もしもの災害に備えて「住まい」と「クルマ」で出来る対策があるのをご存知でしょうか? 家や自動車など、耐用年数が長いものを選ぶ時には、ちょっと先のことを見越して検討しておきたいですね。今回のコラムでは、住まいとクルマの新しい関係「V2H(Vehicle to Home)」をご紹介します。

2021年以降、世界各国でクルマのEV化(電気自動車化)の動きが加速しています。
EUでは7月の欧州委員会で「2035年までにガソリン車の新車販売を禁止する」案が発表され、米国ではバイデン大統領が「2030年までに米国内販売の新車のうち50%を電動化する」という大統領令に署名しました。

そして日本でも、2021年1月の施政方針演説で「2035年までに新車販売で電動車100%を実現(※1)」すると打ち出されており、ということは、そう遠くない未来に、私たちが購入するクルマの選択肢に、EVが候補に入ってくる可能性が増してきたといえそうです。

※1【外部リンク】首相官邸ホームページ「第二百四回国会における菅内閣総理大臣施政方針演説」

クルマを使った非常時の給電システム「V2H」

こうした中、世界各国の自動車メーカーは競ってEV化を進めていますが、日本車メーカーが手がけるV2Hつまり「EVを使った住まいへの給電システム」の進化が、災害大国の日本ならではの一つの特色となっています。

例えば、コンシェルジュで提携しているトヨタホームの給電システムでは、停電時に自宅の照明、冷蔵庫、調理機器、電気ヒーターなど生活に必要最低限の電力を、クルマから住宅に供給できるので、在宅避難時もしばらく安心して過ごせます。(バッテリーの仕様や充電状況、ご家庭での電気の使い方によりますが、節電しながら上手に活用して、丸一日あるいは数日間の在宅生活を支えられるイメージです。)

具体的には、災害停電時に冷蔵庫内の食材を傷めずにすんだり、お湯を沸かせたり、家族のスマホが充電できたりします。クルマから住宅に電力を供給するための専用設備が必要ですが、投資するだけの大きなメリットがあります。特に、小さなお子様やシニアの方がいらっしゃるご家庭では、暮らし慣れた場所での在宅避難を希望される方も多いのではないでしょうか。そんな万一の時の暮らしをサポートしてくれるシステムと言えます。

しかし、このような自動車から住宅への給電システムは、海外の自動車メーカーでは殆ど採用されていないのが実情です。世界的には地震の多い国や地域は限られる為、海外自動車メーカーにとっては「災害時給電」ができるクルマのニーズは大きくないので、仕方がないのかもしれません。海外の方が、日本に来てから初めて地震を体験し、びっくりしたという話を聞いたことはありませんか?災害の多い日本に暮らす私たちにとっては、V2Hがこれからのクルマメーカー選びの基準のひとつになるかもしれません。

V2Hを設置するには

クルマから住宅への非常時給電システムは、新築時のほか、リフォームで設置することもできます。

上記のトヨタホームの場合、住宅への給電のみの専用設備では、機器と工事費をあわせて約45万円から、また給電と充電が可能な専用設備の場合は90万円代から(工事費別途)となっています。(2021年2月同社発行のパンフレットより)

ちなみに、自動車へ充電するだけなら、10〜30万円程度から機器を設置できるのですが、こちらでは非常時に住宅へ給電することはできません。

尚いずれも、今のご自宅の敷地や建物状況により施工費用は変わるのと、車種ごとに使用可能なワット数や外部供給可能な電力量は異なりますので、設置検討時に確認が必要です。日本国内でも、自動車メーカーごとに様々な給電システムが採用されています。

いかがですか?
今すぐに出来る災害への備えは、防災グッズや備蓄品の準備と、定期的な中身の見直しです。
そして新築やリフォームの際に、耐震性能等を確保した住まいにできれば、尚良いでしょう。
これからはもう一歩進んで、ご自宅で、非常時のエネルギー確保も可能な時代が見えてきました。もちろん、クルマを所有しないご家庭であれば、家庭用蓄電池という選択肢もありますが、一般的な蓄電池(よく、キャンプなどで使われるタイプ)と比較してもV2Hのバッテリーは大容量なのが魅力です。

自然災害が多く発生している近年、もしもの備えを取り入れた住まいをコンシェルジュと一緒に考えてみませんか。

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