新築建売住宅のデメリットと購入時の注意点 - 注文住宅との違いは?

新築建売住宅のデメリットと購入時の注意点 - 注文住宅との違いは?

毎年たくさんの方が建売住宅を買い、幸せに暮らしています。一方で「建売を買って失敗した」と後悔されている方もいます。その差は、どこで生まれるのでしょうか。

住宅は「人生最大」と言ってもいい大きな買い物です。絶対に、買ったあとで後悔したくないですよね。そこで必要になるのが、失敗や後悔を防ぐための知識です。

本稿では、建売住宅を買う前に知っておきたいメリットやデメリット建売住宅を買う際の注意点などをご紹介します。ぜひ最後までご覧いただき、マイホームを購入する際にお役立てください。

新築建売住宅のデメリット

新築建売住宅を買って後悔する方は、ふたつのグループに大別できます。まず、欠陥住宅を買ってしまった方。そして、建売住宅が合わなかった方です。

前者は注文住宅でも起こりえますので、建売住宅に限った話ではありません。後者は「注文住宅にすればよかった」と後悔されるケースです。

このような失敗を防ぐには、建売住宅の長所と短所を把握したうえで注文住宅と比較検討して、自分に合っているか判断することが大切です。まずは短所から、3つご紹介しましょう。

  1. 間取りの変更ができない
  2. デザインが画一的
  3. 施工不良を防ぎにくい


それでは、それぞれ注文住宅と比較しながら、順番に詳しく解説します。

1.間取りの変更ができない



建売住宅は、販売開始時点で設計が完了しているうえ、建築確認(行政の建築許可審査)も済んでいます。ですから、たとえ工事未着手の物件であっても、間取り等の変更は請けてくれません。

厳密に言うと「軽微な変更届」や「計画変更の確認申請」の手続をすれば変更可能です。しかし、建売住宅は効率化でコスト削減を達成していますので、基本的に設計変更を受け付けてくれないとお考えください。

一方、注文住宅は間取りから施主(建築主)がつくり上げていきます。建売住宅はレディメイド、注文住宅はオーダーメイドと考えていただくと分かりやすいでしょう。

2.デザインが画一的



先述のとおり、建売住宅は効率化でコスト削減を達成しています。そのひとつの施策として設計や建築材料を規格化していますので、同じ分譲会社が建てた家はどれも似たデザインになりがちです。

販売戦略として意匠性が高い外観にすることもありますが、まれなケースです。内装材や住宅設備も汎用的な普及品を使いますので、外観・内装ともに、やや没個性的な印象を受けることは否めません。

一方、注文住宅は自由にデザインできます (ただし、土地形状や建築関連法規の制約がある)。あなたの個性に合わせて、外観も内装も唯一無二のスタイルにできます。

3.施工不良を防ぎにくい



注文住宅は、施主(建築主)が建築過程を確認できます。一方、建築済みの建売住宅は、それができません。たとえば以下の項目は、家が完成してしまうと目視ではチェックできなくなるのです。

  • 基礎の配筋
  • 壁の中の断熱材
  • 構造駆体の金物
  • 外壁材の下地


さらに、完成物件を買う場合は、買主が建築現場を視察できません。買主が現場に来ないと、どうしても職人の緊張感が下がります。施工不良が見過ごされやすい状況、と言えるでしょう。

家の大部分が手づくりである以上「施工ミス、ゼロ」というわけにはいきません。ですから家づくりには、不良を見逃さず、すべて修正する態勢が求められるのです。その点では、注文住宅が有利です。

新築建売住宅のメリット

つづいて、新築建売住宅のメリットを3つご紹介します。

  1. ローコスト(価格が安い)
  2. 住む家のイメージがしやすい
  3. 最小限の労力で早く住める


順番に、詳しく解説します。

1.ローコスト(価格が安い)



建売住宅はローコストで建てていますので、注文住宅に比べて安く取得できます。とは言え、コスト削減はさまざまな施策の結果であり、単純に「安かろう悪かろう」とは言えません。

たとえば、施工数が多い売主(パワービルダーと呼ばれる)は、同じ設計の家を大量生産しています。使っている住宅設備も、過剰な機能をなくした専用モデルです。土地も安く仕入れています。

その結果、以下のコストダウンができるのです。

  • 設計費
  • 材料費
  • 人件費
  • 土地代


一方、注文住宅は一邸ごとに違う間取りと仕様で設計します。その結果、仕入れコストや建築コスト、打ち合わせコスト(人件費等)などさまざまな費用がかさみます。土地も、建売事業者ほど安く買えません。

なお、建売住宅は明確な価格で契約できるので、追加費用が発生しません。注文住宅は、着工後に追加工事を発注して契約金額から追加費用が発生するケースもあります。

2.住む家のイメージがしやすい



完成済みの建売住宅は、ありのままを見て買えます。たとえ未完成であったとしても、同じ売主が販売する似たタイプの住宅が参考になるでしょう。

実物を見て買える建売住宅は、そこでの生活をイメージしやすく、購入に際して安心感があります。

一方、注文住宅は契約前に実物を見られません。確認できるのは図面やパース(スケッチや3D画像で外観や内観を描いたもの)くらいです。完成後に「思っていたのと違う」と感じることもあり得ます。

3.最小限の労力で早く住める



建売住宅は、間取りや仕様がほぼ固まっていますので、打ち合わせが少なくて済みます。変更可能な内装や住宅設備についても、選択肢の中から選ぶだけですので、あまり労力を必要としません。

建築済みの物件を買えば、短期間で引っ越しまで進みます。引っ越しする時期が決まっていて、あまり時間がない方は、建売住宅が有力な選択肢になるでしょう。

一方、注文住宅は、初動の情報収集から引っ越しまで早くても1年くらいかかります。土地探しから始める場合は、2~3年かかる方も珍しくありません。

建売住宅を買う際の注意点

最後に、建売住宅を買う際の注意点を3つご紹介します。失敗や後悔のリスクを下げるために、ぜひ覚えておいてください。

  1. 不具合が修正されるまで、引き渡しを受けない
  2. 必要に応じて、ホームインスペクションを活用する
  3. 売主から直接買えるか確認する


順番に、それぞれ詳しく解説します。

1.不具合が修正されるまで、引き渡しを受けない



さまざまなコスト削減の結果、建売住宅はリーズナブルな価格設定になっています。これは大きな魅力であり、最大限享受すべきでしょう。

しかし、通常あるべき品質を欠いた物件を買ってしまうと、それがかなわなくなります。それどころか、建物の寿命が短くなり、コストパフォーマンスまで落としてしまうこともあり得ます。

そのような事態を避けるために、引き渡し前の最終チェック(内覧会)は丁寧におこないたいところです。もしも不具合を発見したら、修正を依頼して、直るまで引き渡しを受けてはいけません。

2.必要に応じて、ホームインスペクションを活用する



住宅は、膨大な数の材料と複雑かつ専門的な技術でつくられた製品です。素人が引き渡し前の最終チェックをおこなうことに、いささか不安を感じる方もおられることでしょう。

そんなときは、費用がかかりますが、専門家によるホームインスペクション(住宅診断)サービスをご活用ください。専門家が内覧会に同行して、住宅を調査・診断してくれます。

3.売主から直接買えるか確認する



建売住宅の販売スタイルは、2種類に大別できます。ひとつめは、売主による「直接販売」。ふたつめは、売主と買主の間に不動産会社を挟む「仲介」です。

じつは、売主から直接購入すると仲介手数料がかかりません。仲介物件であっても、売主が直接販売のチャネル(集客ルート)をもっていないか確認してみましょう。

ただし、製造にリソースを集中している売主(パワービルダー等)は、販売を不動産仲介会社に任せています。そのような物件は直接購入できませんので、必ず仲介手数料がかかります。

【まとめ】建売住宅を購入する際はデメリットを許容できるか検討を

ほとんどの方にとって、住宅は一生で一番大きな買い物です。どのような住宅が自分に合うのか、しっかり検討してから後悔の残らない選択をしたいですよね。

しかし、分譲住宅会社へ行けば、建売住宅を推すでしょう。工務店やハウスメーカーへ行けば、注文住宅を推すでしょう。マンションデベロッパーへ行けば、分譲マンションを推すでしょう。

そのような状況では、「家かマンションか、新築か中古か」と迷っている方は、どこも相談に行きづらいのではないでしょうか。そんなときこそ、コンシェルジュ型のサービスをご活用ください。

東急株式会社「住まいと暮らしのコンシェルジュ」は、中立的な立場から、あなたに合ったマイホームの取得を無料でサポートします。ぜひ、ご利用ください。

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コンシェルジュで一戸建てのお住まい探しを始められる方から、「建売ってどうなの?」というご質問を時折頂きます。
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お店でいろいろなご相談を伺っていますと、お客様によって、建売分譲が向いている方、
注文住宅が向いている方、それぞれいらっしゃるように思います。
例えば、お住まい探しの最初の時点で、「新築戸建に住みたいけれど、注文住宅のように時間や手間をかけて、
間取りや設備を細かく決め、ゼロから家を作っていくのは、自分たちにはちょっと大変そう…」とお感じの方は、
まず建売から探されるとよいでしょう。

建売分譲の場合、既に出来上がった家を見て選べることも多いので、現物を確認できるという安心感もあります。
最近の建売には、よく考えられた間取りのものもありますし、いろいろな物件を見たうえで、
それでもやはり「どうしても建てるときにこだわりたいポイントがある…」となったら、
その時点で注文住宅にチャレンジしていく…
場合により、そんな流れでもよいのではないでしょうか。

それから、建売の間取りについて、ちょっと面白い出来事がありました。
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「そろそろかな…」「どうしようかな…」と考え始めた時、よかったら是非コンシェルジュへ。
いろいろお話してみませんか。

2020/03/01

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2020/03/01