在宅時間が長くなり、家をよりくつろげるようにしたいと思う方は多いのではないでしょうか。今回は前編・後編に分けて、住まい空間には欠かせない照明のお話をしたいと思います。
住まいの中で「明かり」は大きな役割を果たしていると思いませんか?もちろん、照明器具によって明るさを得ることが最も重要な役割ですが、最近は特に「空間演出」の役割が大きくなってきています。以前よりも住まいという空間が私たちにとって「生活を楽しむ」ためのものになり、「くつろぐ空間」という役割が求められるようになった変化を感じるのです。今回は最近のトレンドを照明コンサルタントの資格を持つコンシェルジュがご紹介します。
LEDが主流になって変わったこと
住宅照明の大きな流れとして、この10年程の間に一気にLEDが主流になりました。省エネ効果を取り上げられることが多いLED照明ですが、他にもさまざまな利点があります。
以前は蛍光灯や白熱灯など「○年したら電球や蛍光灯を交換する」のが当たり前でしたよね。LED照明は光源の寿命が従来の白熱灯等に比べて長いと言われており、寿命を迎えたら電球部分を交換するのではなく、住宅の設計時にはメンテナンスの目安として「器具ごと交換」という提案をするほどです。それにより、従来の「高い位置にある照明器具や、手の届きにくい場所にある照明器具は、電球の交換が大変!」という思いをもとに、ご自身で交換する頻度を考慮して器具の配置を検討したり選定したりする必要性は低くなりました。交換する手間を考慮しなくて良いようになったのは大きな変化だと思いませんか?
また、LEDはサイズがコンパクトで発熱量を抑えられることも大きな特徴です。例えば、壁を加工して設置する間接照明の場合、熱を逃がす空間を確保することが必要なのですが、コンパクトになったことで省スペースに納めることができ、かつ放熱スペースもそこまで必要ではなくなったため、更に設置できる箇所が広がったのです。
以前は難しかった「こんなこと」
このようにメリットの多いLED照明が普及したことで、住宅設計においても照明デザインの自由度が上がっています。例えば「リビング空間の壁の一部に間接照明を設置したい」とリクエストをいただくと、以前なら、照明器具の周囲に電球交換作業を考慮したスペースを余分に確保したり、あるいはテレビやオーディオなど放熱する家電とは少し離して配置を考えたりする必要がありましたが、今はこうした制約がぐっと少なくなりました。
もちろん、LEDではない間接照明用の器具も従来からありましたが、高価でしたし家電量販店では販売されておらず、住宅用としてはあまりふさわしくなかったのです。それを思うと、今はクリアしないとならないような条件はほとんどなく、雰囲気のある間接照明を取り入れやすくなったと感じます。リビングの壁の一面をアクセントにして間接照明を埋め込む、玄関を入って目に付くところに照明で演出した空間を作る、高天井の天井面に照明を組み込むなど、さまざまなアイデアで素敵な空間が作れますよ。
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灯りで空間を演出
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昼は仕事や学業などで家を空け、家でゆっくり過ごすのは夜、という方も多いのではないでしょうか。
そんなとっておきの夜に欠かせない灯りを効果的に使いたいものです。
最近は寿命が長く電気代が安いLEDが主流となってきました。
光は明るさだけでなく、色温度(光源の色を表す方法)で空間の雰囲気が大きく異なります。ケルビンという単位で色の尺度を測り、主に「電球色」「温白色」「白色」「昼白色」「昼光色」に分類されます。ケルビンの値が低いとオレンジ色味を帯びた暖色系の電球色となり、値が高いと青白い寒色系の昼光色となります。
蝋燭の炎に近い電球色は、寝室やリラックススペースにお勧め、勉強部屋や化粧をする場所などは視認性の良い昼光色がお勧めです。作業環境や目的に合わせた灯りを選ぶことが大切です。
光の色に迷った時は、太陽の明るさに近い昼白色を選ぶと無難ですが、調色調光可能な照明器具を使えば同じ部屋でもシーンに応じて灯りを使い分けることが可能です。
灯りを楽しむ方法として間接照明を取り入れる方も増えてきました。
ライン照明の設置の方法についていくつかご紹介します。
壁面収納の天面へ設け天井を照らす、下駄箱や家具などを床から浮かせて設置した底面へ設けて床面を照らすなど、直接の光では無く、反射させた柔らかい光を得ることで立体感も生まれます。
マンションリフォームでは、空間作りに天井梁の存在が問題になることがありますが、梁の下部や側面に土台を造り、ライン照明を仕込み、天井や壁に光をあてることで間接照明として梁を有効活用することが可能です。
部屋を繋げてリビングを広くし部屋の真ん中に梁が出てしまう場合など、ライン照明を使いリビングとダイニングのゾーニングも図れます。
また、簡単に灯りを楽しむ方法としては、フロアライトが有効です。淡い光を床面から加えることで柔らかい空間が生まれます。電球の熱でアロマオイルを温めることができるアロマライトも手軽でお勧めです。
灯りは、インテリアとして居心地の良さや安らぎを演出するものとなってきました。柔らかい光が部屋全体を包み込み、寛ぎの空間を演出してくれます。
夜が日に日に長くなるこの季節、みなさまも灯りの演出を試みてはいかがでしょうか。
2020/03/01
リフォーム2020/03/01
昨年から続くコロナ禍の影響で、自宅で過ごす時間をより大切に、快適なものにしたいという傾向も強まっていると感じます。照明を考える際には、新しい技術にも注目して、より快適な住まいづくりを目指してみませんか。
次回後編では、「ペンダント照明の愉しみ方」というテーマでダイニングスペースの明かりをご紹介します。