中古マンション購入の注意点|買う前に知っておくべきポイント9選

中古マンション購入の注意点|買う前に知っておくべきポイント9選

本稿の概要
・中古マンション購入のプロセスは、大まかに「計画、物件探し、契約」の3段階に分けられる
・まずは、希望条件の整理や資金計画の立案、リノベーションの可否を検討することが大切
・物件選びでは、内見以外にも管理状態や災害リスク、周辺環境の確認が重要

中古マンションを買う際、「何に注意すればいいの?」と戸惑う方は少なくありません。《不動産売買》は高額、かつ人生で何度も経験することではないため、慎重になって当然です。

中古マンションには、築年数や耐震性、管理状況、修繕計画など、気を付けるべきポイントが多くあります。購入後に後悔しないためにも、事前にチェックポイントを把握しておきたいところです。

本稿では、中古マンションを購入する際に押さえておきたい注意点を9つに絞って丁寧に解説します。理想の住まいを手に入れるためのチェックリストとして、ぜひご活用ください。

中古マンションの購入を計画するときの注意点

中古マンション購入のプロセスは、大まかに「計画、物件探し、契約」の3段階に分けられます。

まずは最初の計画段階が重要で、いきなり物件を探し始めるのではなく、事前に検討すべき点がありますのでご紹介します。

  • 希望条件を整理しよう
  • 資金計画を立案しよう
  • リノベーションする?しない?

順番に、詳しく解説します。

希望条件を整理しよう



中古マンション購入の計画段階で、希望条件を整理しておくことをおすすめします。数多い物件の中から、自分に合ったものを効率的に見つけられるようになります。

たとえば、間取りはどうでしょうか?家族構成や子どもの成長を見据え、必要な部屋数や収納スペース、各部屋の広さの希望を考えておきましょう。

立地や周辺環境の希望もあげておくとよいでしょう。以下のような立地や周辺環境の要素は、住みやすさだけでなく、現在や将来の資産価値にも影響する点に留意してください。

  • 通勤や通学のしやすさ
  • 最寄り駅までの距離
  • 商業施設が近い(買い物・飲食・レジャーなど)
  • 公共施設が充実(病院・公園・図書館など)
  • 治安がよい
  • 人気の学区

その他、ペット飼育の可否や駐車場・駐輪場の有無、セキュリティ設備、日当たりなどの要望もあげておきましょう。

ただし、すべてをかなえるのは難しいため、優先順位を付けることが大切です。あなたにとって、重要なもの、譲れないものは何でしょうか?

希望条件と優先順位を整理しておくことで、実際に物件を見た際に「買う/買わない」の判断がしやすくなります。

資金計画を立案しよう



中古マンションの購入では、必要な資金の金額やその支払方法をしっかり検討することが重要です。

とくに近年では、マンション価格が上昇傾向にあり著しく高額化しています。物件価格以外にかかる諸費用や購入後の維持費も考慮した、慎重な資金計画が求められます。

資金計画のポイントをご紹介します。
購入費用物件価格に加え「仲介手数料、登記費用、不動産取得税、印紙税」などの諸費用、「家具、家電、照明、カーテン」の購入費用も含めて総額を見積る。
住宅ローン自分に合う借入額や借入期間、金利タイプなどの選択が大切。自分に合う借入額や借入期間によって、金利タイプを変動金利か全期間固定金利にするかの判断も大切。


維持費 管理費・修繕積立金、駐車場代・駐輪場代、固定資産税・都市計画税、火災保険料などの維持費を考慮する。

住宅ローンの返済は、家計に大きな影響を与えます。高額かつ返済期間が長いため、不測の収入減も考慮して、無理のない返済計画を立てることが非常に大切です。

とは言え、中古マンション購入の資金計画は、簡単ではありません。資金計画を立てることに不安を感じる方は、専門のファイナンシャルプランナー(FP)に相談すると安心です。

東急株式会社「住まいと暮らしのコンシェルジュ」では、FPのご紹介や、資金計画立案のアドバイスを実施しています。ご興味がある方は、お気軽にお問い合わせください。

リノベーションする?しない?



中古マンションの購入と同時にリノベーションを実施するか否かも、重要な検討ポイントです。

「内装が古い物件を買ってリノベーションするのもあり」ということであれば、物件の選択肢が広がります。好立地の物件を比較的安価に手に入れられるかもしれません。

ただし、中古マンションの購入と同時にリノベーションを実施する場合、いくつかのメリット・デメリットがあります。たとえば、以下の点に関して留意が必要です。

  • 設備や内装を一新する工事費用が別途必要になる
  • 工事期間の分だけ入居が遅れる
  • リフォーム会社を探したり選んだりする手間が増える

一方、購入と同時にリノベーションを実施すると、以下のメリットを享受できます。

  • 好みやライフスタイルに合わせて間取りや設備を一新できる
  • 間取りや設備を新しくすることで、快適性が向上する
  • 新築に比べて低コストで理想の住空間を実現できる可能性がある

上述のメリットに魅力を感じる方は、リノベーションも視野に入れてマンション探しをおこなってみてはいかがでしょうか。

なお、リノベーションを実施する場合は、その費用も含めた資金計画の立案が必要です。物件選びをする前にリフォーム会社を決めておくと、さまざまなアドバイスをもらえるので安心です。

物件選びの注意点

物件選びは、《中古マンション購入》において非常に重要なステップです。

多くの物件がある中から《後悔しない物件》を見つけるには、さまざまな観点からチェックが必要です。

主なチェック項目をご紹介します。

  • 管理状態を確認しよう
  • 建物の災害リスクを確認しよう
  • 立地と周辺環境を確認しよう
  • 内見でお部屋を確認しよう

中古マンションを購入する際、ともすれば内見の印象だけで決断してしまいがちです。しかし、管理状況や災害リスク、立地・周辺環境を無視すると後悔につながる可能性が高まってしまいます。

それぞれ詳しく解説します。

管理状態を確認しよう



マンションは管理を買え」と言われます。それほど、マンションを選ぶうえで管理状態のチェックは重要です。管理状態は、住み心地だけでなく、建物の寿命や将来の資産価値にも大きく影響します。

管理に関する情報を得るには、内見時に注意深く共用部分を観察する必要があります。また、修繕積立金や管理費が今後上がる可能性があるのか、マンション管理上問題になっていることはないかは確認した方がよいでしょう。

主なチェックポイントをご紹介します。

▼共用部分の整備状況


専有部分(お部屋)だけでなく、共用部分の管理が行き届いているかチェックしましょう。たとえば以下の共有スペースが適切に手入れされているか、可能な限り確認してください。

  • エントランス
  • 共用廊下
  • ゴミ置き場
  • 駐車場・駐輪場
  • エレベーター

具体的には、清掃・整理が行き届いているか、劣化が目立っていないか、などがチェックポイントになります。

▼大規模修繕の履歴と計画


マンションは経年劣化するため、10~15年ほどの周期でメンテナンスが必要です。修繕を怠ると、建物の寿命が短くなるだけでなく、資産価値も落ちてしまいます。

不動産仲介会社を通して、《今までの大規模修繕工事の履歴》や《今後の修繕計画》まで確認しておくと安心です。

▼修繕積立金の状況


修繕計画が立案されていたとしても、資金がなければ実行できません。修繕積立金がきっちり積み立てられているか、また滞納が問題になっていないかを確認しましょう。

修繕積立金が不足している場合は、臨時徴収されたり必要な修繕ができなかったりするリスクがあります。

▼管理組合の活動状況


管理組合が開催する理事会や総会の議事録も、重要なチェックポイントです。議事録を見ると、マンション内で起きている問題を把握できる場合があります。

掲示板の掲載物からも、マンション内で起きている事象を把握できる場合がありますので、あわせてチェックしておくとよいでしょう。

建物の災害リスクを確認しよう



耐震性能は、建物の安全性・耐久性・資産価値、そして快適な生活を送るうえで重要な指標となります。

そのため、購入の意思決定に大きな影響を及ぼします。

▼耐震性能の確認方法


具体的には、1981年6月1日に改正された「建築基準法施行令」の耐震基準に適合しているかを確認しましょう。新築時の建築確認が済んだ日付が、1981年6月以降になっているかチェックしてください。

法令が求める耐震性は、改正前(旧耐震基準)と改正後(新耐震基準)で大きく異なります。各耐震基準が「達成すべき」としている耐震性は、以下のとおりです。
基準中規模地震
(震度5強程度)
大規模地震
(震度6強~7程度)
旧耐震基準変形・倒壊しない規定なし
新耐震基準損傷しない倒壊・崩壊しない


ご覧のとおり、新耐震基準を満たすマンションは大地震でも倒壊の危険性が低く、安心感があります。また、その他にも以下のメリットがあります。

  • 住宅ローン審査や保険料面で有利になる場合がある
  • 住宅ローン減税などの税制優遇の適用条件に合致しやすい
  • 将来の売却時にも価格の下落が比較的抑えられる傾向がある

このような理由から、できるだけ新耐震基準で建てられたマンションを選ぶほうがよいでしょう。

旧耐震基準で建てられた建物でも、耐震診断を受けて新耐震基準に適合していると証明できれば、耐震基準適合証明書を取得できます。

この証明書により新耐震基準と同様に住宅ローン控除や不動産取得税の軽減措置を受けることも可能です。

▼地震以外のリスクの確認方法


地盤の堅さを調べておくことも重要です。地盤が弱いと、地震による揺れが大きくなります。

洪水・高潮・津波・土砂災害などの危険性がある地域は、ハザードマップも確認しましょう。

国土交通省「ハザードマップポータルサイト」を使えば、複数の災害リスク情報を確認できます。

立地と周辺環境を確認しよう



立地と周辺環境は個人では改善できないため、購入前に確認することが非常に大切です。日々の生活の利便性に加えて、資産価値や安全性に影響します。

とくに、将来的に売却する可能性がある場合は、資産価値が下がりにくい立地を選ぶほうが賢明です。チェックすべき具体的なポイントをご紹介します。
利便性駅からの距離や周辺施設(スーパー、病院、学校など)の充実度を確認。実際に周辺を歩いて、騒音や周りにどんな人が住んでいるかなど、感覚的な情報も把握することが大切。
資産価値人気のエリアや利便性の高いエリアにあるマンションは需要が高く、価値が下がりにくい傾向がある。人口が減少しにくいエリアを選ぶことも重要。
安全性エリアの治安や雰囲気、夜間用街灯の有無、道路の交通量、工場や風俗店など安全性や治安に影響する施設がないかどうかもチェック。


資産価値は築年数の経過とともに下落する傾向がありますが、立地や、先述の管理状況が資産価値の維持に大きく影響します。

内見でお部屋を確認しよう



気になる物件が見つかったら、不動産仲介会社を通して内見(物件を実際に見る)に行きましょう。資料やインターネットでは分からないさまざまな情報を取得できます。

主なチェックポイントをあげておきますので、参考にしてください。
室内 (専有部)眺望・日当たり・風通し、防音性、間取り・広さ、内装や設備の劣化・傷み、リノベーションの必要性など
共用部雰囲気、清掃状態、劣化・傷み、セキュリティ、危険なところがないかなど
周辺環境雰囲気、安全性、騒音、におい、生活に必要な施設の有無など


周辺環境の確認は、可能であれば平日と休日、昼と夜など異なる日時に複数回実施することをおすすめします。曜日や時間帯が違うと、まったく異なる顔を見せることがあります。

なお、内見前にチェックリストを作成しておくと効率的です。メジャーなどの計測道具を持参すると、寸法確認がスムーズにおこなえます。

また、複数の物件を見比べることで、物件の良し悪しを判断しやすくなります。そのため、最初から積極的にいろいろな物件を内見してみてください。

契約から引き渡しまでの注意点

物件が決まったら、契約、住宅ローン手続き、引き渡しへと進みます。これらの段階でもいくつかの注意点がありますので、ご紹介します。

  • 契約書と重要事項説明書を確認しよう
  • 引き渡し前に最終チェックを実施しよう

それぞれ、詳しく解説します。

契約書と重要事項説明書を確認しよう



契約の前には、不動産会社から「重要事項説明」を受けます。これは、物件の権利関係や法令上の制限、建物の状態、付帯設備など、購入の判断に直結する大切な情報を説明する制度です。

重要事項説明は、買主が不利益を被らないようにするための仕組みです。事前に控えをもらって一読しておき、不明な点は遠慮せず質問し、内容をしっかり理解・納得したうえで契約に進むことが非常に重要です。

売買契約書の内容もしっかり確認しましょう。売買代金や支払いスケジュール、引き渡しの時期、契約内容と異なる場合の対応ルールなど、取引の根幹となる情報が記されています。

重要事項説明書と売買契約書の両方をしっかり読み込み、物件の価値とリスクを客観的に判断しましょう。

引き渡し前に最終チェックを実施しよう



引き渡しを受ける前に、物件の現状と契約書等の内容に食い違いがないかチェックしましょう。自分の目で確認しておくことで、後々のトラブルを防げます。

引き渡し後は、トラブル対応が困難になる場合があります。契約書の特約に「契約不適合責任を免責」と書かれていると、引き渡し後の不具合は一般的に買主負担となります。

また、契約書に「残す」とあった設備が、勝手に撤去されていることもあります。

最終確認でチェックすべきポイントをまとめておきます。しっかりと状態や動作を確認してから、引き渡しを受けましょう。

  • 壁・天井・床
  • 窓・網戸・ドア・鍵
  • 扉・引き戸
  • 残置物(家具・家電・照明など)
  • ゴミ・不要物が放置されていないか
  • 照明スイッチ・コンセント
  • 給湯器・水回り設備
  • 水栓・排水
  • 換気扇・浴室乾燥機
  • インターホン

チェック時は契約書や重要事項説明書を持参し、現況と照合するとよいでしょう。スマホで写真や動画を撮っておくと、後日確認や証拠に利用できます。

気になる点は、その場で仲介会社に報告しておくと安心です。時間がたてばたつほど、言いにくくなるものです。

まとめ:中古マンション選びで迷ったらコンシェルジュに相談

中古マンションには新築にはない魅力がある一方で、耐震性や管理状態など、事前に確認しておきたいポイントが多くあります。本稿でご紹介した注意点を参考に、チェックを進めてください。

人生に何度もない大きな買い物だからこそ、「なんとなく」で選ばず、納得のいく選択をしたいですね。理想の暮らしを実現するために、本稿があなたの判断の一助となれば幸いです。
中古マンション選びで迷ったらコンシェルジュに相
なかなか理想の中古マンションが見つからない」「そもそも、信頼できる不動産会社に出会えない」とお悩みの方は、東急株式会社「住まいと暮らしのコンシェルジュ」にご相談ください。

建築士や宅地建物取引士などの資格を持つコンシェルジュが、不動産会社探しやマンション探しをお手伝いします。詳しくは以下をご覧ください。