空き家を賃貸にする方法とは?アイデアやメリット・デメリットを解説

空き家を賃貸にする方法とは?アイデアやメリット・デメリットを解説

親から相続した家や、住まなくなった実家。「このままにしておいて大丈夫かな」と気になりつつも、なかなか手をつけられずにいる方も多いのではないでしょうか。

空き家をどうするか考えたとき、多くの方がまず思い浮かべるのは「売却」か「そのままにしておく」かの二択かもしれません。しかし空き家活用の選択肢にはもう一つ、「賃貸」もあります。

この記事では、空き家を賃貸に出す際の基本的な考え方や貸し方の選択肢、メリット・デメリットや費用、注意点などをわかりやすく解説します。

本稿の概要
⏵空き家を放置すると資産価値の低下や防犯上のリスクが積み重なっていくため、早めに活用方法を検討することが大切。
⏵賃貸には一般的なリフォーム前提の貸し方だけでなく、DIY賃貸や仮住まい賃貸など、費用や期間を抑えて活用できる選択肢もある。
⏵賃貸には初期費用・ランニングコストがかかるほか、確定申告や契約形態など事前に押さえておきたいポイントがある。

空き家をそのままにしておくリスク

空き家を手放す際には、さまざまな手続きが必要です。そのため重い腰をなかなか上げられず、そのままになっている方も多いのではないでしょうか。

確かに空き家をどうするか決めることは、面倒に感じるかもしれません。

しかし人が住まなくなった家は換気がされず、湿気がこもりやすくなります。内部の腐食やシロアリ被害が進行してしまえば、いざ売却しようとしても建物にほとんど値段がつかない、というケースも珍しくありません。

また、人の出入りがない家は「管理されていない」と外からも分かりやすく、不法侵入や不法投棄のターゲットになりやすくなります。放置されたゴミや雑草が放火や害虫発生の原因となり、近隣住民との関係悪化につながることも…。

このように、空き家は放置期間が長くなるほど、資産価値・防犯の両面でリスクが大きくなってしまうのです。

空き家の活用方法の1つが「賃貸」

空き家をどうするか考えたとき、選択肢としては「売却」や「家族が住む」などがあると思います。

建物の状態が良い、もしくは建物が古くても土地の価値が高い家は、スムーズに売却できるでしょう。しかしそうでなければ、なかなか買い手がつかず、売却活動自体が長引いてしまうこともあります。

それならば、親戚や家族の誰かが空き家に住んでくれれば…と考える方も多いかもしれませんが、実際にはそれぞれの生活拠点や仕事の都合から、すぐに住める人がいないことがほとんどです。

そこで空き家の活用方法として検討したいのが、賃貸という選択肢です。

実は戸建ての賃貸は需要が高く、「庭付きの一戸建てに住みたい」というファミリー層や「ペットを飼いたい」という方からとくに高い人気を集めています。

古くなってしまった空き家であっても、工夫次第では人気の賃貸へと生まれ変わることも、あるかもしれません。

次の章では、古い空き家を人気賃貸へと変化させる工夫を紹介します。

空き家の賃貸希望者が集まりやすいアイデア

「賃貸に出す」と聞くと、リフォームをしてきれいに整えてから貸し出す、というイメージを持つ方が多いかもしれません。

しかし実際には、その他にもさまざまな貸し方があります。費用や建物の状態などを踏まえて、ご自身の状況に合わせた方法を選択していきましょう。

どの方法が自分の空き家に合っているのか、収益はどれくらい見込めるのか、など判断に迷う場合は、建物維持のランニングコストや将来の資産価値なども含めて相談できる「住まいのコンシェルジュ」に相談してみるのも一つの方法です。


リフォームを行う

もっとも一般的なのが、水回りや壁紙・床など、住まいとしての清潔感を回復させたうえで貸し出す方法です。

初期費用はかかるものの、「建物のきれいさ」というのは入居者にとって非常に大切なポイントとなるもの。空室期間を短くしたい場合はリフォームを行ったほうが良いでしょう。

リフォーム箇所は、必要最低限でも構いません。戸建て賃貸は入居者が長く住み続けるケースが多いことから住まいに愛着を持ってもらえるよう、壁紙の色など一部だけ希望を取り入れてリフォームするといった柔軟な対応の例も見られます。

ただし、賃貸管理会社によっては耐震補強を条件としているケースもあり、その場合は内装リフォームだけではなく大掛かりな耐震リフォームが必要になります。

借り上げ型の運用サービスを検討する

「リフォーム費用をかけずに貸したい」という場合には、空き家の活用を専門に行う事業者に借り上げてもらう、という方法もあります。

こうしたサービスでは、専門業者が費用を負担し、オーナーの戸建てをリフォームします。その後、賃貸として数年間運用し、賃料からリフォーム費用を差し引いた分がオーナーに支払われる仕組みです。

契約期間が終了すると改修済みの状態で物件がオーナーのもとに戻ってくることが、一般的です。

初期費用をかけずに空き家を賃貸化でき、建物の状態も回復することから、空き家の活用方法に悩む多くの方から選ばれている賃貸方法です。

仮住まい賃貸とする

短い期間だけ貸し出す「仮住まい賃貸」も選択肢の一つです。

仮住まい賃貸とは、単身赴任の期間中や自宅の建て替え・リフォームを行う間の仮住まいとして借りたい、といったニーズに応える貸し方のこと。ペットを飼っていて一般的な賃貸物件が見つかりにくい方や、学区を変えたくない方、マンションでは部屋数が足りない家族などから利用されることがあります。

一般的な賃貸と比べて、最低限のリフォームで貸し出せることが多い点が魅力です。

空き家を賃貸に出す場合は委託管理と自主管理の2つのやり方がある

空き家を賃貸に出す際、管理の方法は大きく分けて「委託管理」と「自主管理」の2つがあります。

  • 委託管理:家賃の集金や入居者対応、契約更新などを管理会社に任せる
  • 自主管理:すべての対応を自分で行う


委託管理の場合、建物の管理や入居者からの問い合わせ対応などを自分で行う必要がなく手間を減らせますが、委託費用を支払う必要があります。

一方で自主管理は、委託費用がかからないものの、建物の管理から入居者対応まで、すべてを自分で行わなくてはなりません。

遠方に住んでいてすぐに駆けつけられない方には委託管理が、物件の近くに住み日中も対応しやすい方には自主管理が向いています。

また、両者は組み合わせることも可能です。
    【組み合わせ方法】
  • 入居者募集と契約だけ不動産会社へ依頼し、入居後は自主管理
  • 家賃集金と滞納対応だけ管理会社へ委託
  • 設備トラブルの受付サービスだけ利用
  • 管理は自分で行い、退去立ち会いだけ専門業者へ依頼


費用や管理の手間のバランスなどを考慮しながら、ご自身の状況に合った管理方法を考えてみましょう。

空き家を賃貸にすることのメリット

空き家を賃貸に出すことには、費用面だけでなく、さまざまなメリットがあります。

家賃収入を得られる

空き家をそのまま放置していると、収入が生まれることはありません。しかし賃貸に出すことで、毎月安定した家賃収入を得られるようになります

得られた収入は、固定資産税や火災保険料、建物のメンテナンス費用など、空き家を維持するために必要な費用に充てたり、家賃収入の総額によっては、家族旅行や子どもの学費など、プライベートな費用にあてられる余裕も生まれるかもしれません。

ただし、賃貸を続けるよりも売却した方が金銭的なメリットが大きいケースもあります。

貸す・売るのどちらが自分に合っているのか迷った場合はコンシェルジュに相談し、収支を比較しながら検討するのも一つの方法です。


建物が劣化していくのを防げる

人が住み続けることで、自然と換気や掃除が行われるため、空き家のまま放置するよりも建物の劣化を抑えることができます

結果として、将来的に売却を検討する際にも、資産価値を保ちやすくなるというメリットにつながります。

将来の選択肢を残しながら活用できる

売却してしまうと家は完全に手放すことになりますが、賃貸であれば所有権を保ったまま活用することができます

「両親が長年暮らした家を手放すのは寂しい」「いつかは自分たちが住む可能性も残しておきたい」といった場合はもちろん、「いずれ売却するつもりだが、今はまだ所有しておきたい」「活用方法がわからないので、今はとりあえず現状維持で…」といったふうに、今後さまざまな選択肢を残しておくうえでも、賃貸は良い選択肢となります。

防犯対策になる

人が住んでいる家は、空き家に比べて不法侵入や不法投棄のリスクが大きく下がります。人の出入りがあること自体が、周囲から見て「管理されている家」という印象を与え、犯罪の抑止につながるためです。

近隣住民にとっても、安心材料の一つになります。

「特定空き家」となるリスクを下げられる

管理が行き届いていない空き家は、自治体から「特定空き家」に指定される可能性があります。

指定されると、固定資産税の住宅用地特例が外れて税負担が大きく増えたり、行政から改善の指導や勧告、さらには強制的な解体を求められたりすることもあります。

賃貸に出して人が住む状態を保つことは、こうした行政指導のリスクを避けることにもつながります。

空き家を賃貸にすることのデメリット

メリットがある一方で、賃貸に出す際には気をつけておきたい点もあります。

修繕費用が必要になる

空き家を賃貸とする場合、賃貸に出す前の初期リフォームだけでなく、入居者が退去したあとも、次の入居者を迎えるためのクリーニングやメンテナンス費用が継続的に発生します

こうした費用は家賃収入だけでまかないきれない場合もあるため、あらかじめ修繕費用も見込んだうえで、収支計画を立てておくことが大切です。

入居者がトラブルを起こすリスクがある

賃貸に出すと、入居者と近隣住民との間で、生活音やゴミ出しなどをめぐる揉め事が起きたり、家賃の未払いが発生したりする可能性もゼロではありません

特に個人で自主管理をする場合、こうしたトラブルへの対応をすべて自分で行う必要があるため、心理的にも時間的にも負担が大きくなりがちです。

管理会社に委託することで対応を任せられる場合もあるため、自分たちがどこまで対応できるかを踏まえて、管理方法を検討するとよいでしょう。

売却・建て替え時に制限がかかることも

一般的な賃貸借契約では、入居者側の権利のほうが強いため、オーナーの都合で退去を求めることは簡単ではありません

たとえば「5年後に売却や建て替えが決まったので、5年以内に退去してほしい」となっても入居者に退去してもらえず、計画が滞ってしまう可能性があります。

将来的な計画がすでに決まっている場合は、契約期間があらかじめ定められている「定期借家契約」を選ぶことで、こうしたリスクを避けやすくなります

築年数によっては賃貸会社が管理を引き受けてくれないこともある

建物の老朽化が進んでいる場合、賃貸管理会社によっては管理を引き受けてもらえないケースもあります

事前に複数の管理会社へ相談し、どの程度のリフォームや修繕が必要になるかを確認しておくことが大切です。

空き家を賃貸にする際に発生する費用

空き家を賃貸に出す場合、初期費用とランニングコストの両方がかかります。

初期費用の内訳

  • 建物の点検・調査費用
  • 残置物の撤去・処分費用
  • ハウスクリーニング費用
  • 入居者募集のための費用
  • 火災保険・地震保険の見直し費用


空き家を賃貸化する際の初期費用は上記の通りです。リフォームを行う場合は、リフォーム費用も必要になります。

ランニングコスト

賃貸に出した後も、以下のような費用が継続的に発生します。
  • 固定資産税・都市計画税
  • 火災保険・地震保険料
  • 賃貸管理会社への管理委託料
  • 建物や設備・庭木のメンテナンス費
  • 入居者の退去後に行う原状回復費
  • 次の入居者を募集するための費用
  • 空室期間中の光熱費や維持管理費
  • 賃貸収入に対する税金


ランニングコストも建物の状態・規模によって変わります。また、税周りは専門的な知識も必要です。

初期費用と合わせて、どれくらいの予算を用意しておけば空き家を賃貸にできるのか知りたい方は、東急株式会社の「住まいと暮らしのコンシェルジュ」にご相談ください。

空き家を賃貸にする際の流れ

空き家を賃貸に出す際は、次のような流れで進むのが一般的です。

1.状態確認
まずは状態チェック。シロアリや雨漏り、電気設備など最低限、対策が必要な部分は修繕を行います。大掛かりなリフォームを行う場合は、ホームインスペクションを実施しましょう。

2.収支判断
周辺の家賃相場や需要を調べ、想定家賃と必要なリフォーム費用・管理費・税金などの計算を行います。この段階で、貸すよりも売却のほうが結果的に費用負担が少なくて済む、と判断できるケースもあります。

3.修繕
すべてを新しくする必要はなく、入居者が安全・快適に暮らせる状態を最優先した上でリフォーム費用を割り当てましょう。戸建ての場合は室内だけでなく庭木、塀、門扉、雨どいなどの整備も必要です。

4.募集
不動産会社を通じて入居者を募集します。物件写真や間取り図を用意し、賃貸サイトなどへ掲載を行います。修繕履歴、設備の状態などは正確に記載することが大切です。

5.契約・入居
入居希望者が決まったら、敷金・礼金・前家賃などを受け取ったうえで鍵を引き渡します。

6.管理
入居中は、入居者からの連絡や設備の不具合に対応します。退去後は、再び状態確認・修繕のステップに戻り、次の入居者を迎える準備を進めます。

まとめ

空き家は、放置する期間が長くなるほど資産価値の低下や防犯上のリスクが積み重なっていきます。しかし必ずしも売却しか道がない、というわけではありません

空き家を賃貸にすることで、建物の価値を保つことができたり、思い出を残すことにもつながったりします。また、家賃収入を空き家の管理費用としてあてることも可能です。

賃貸の管理方法はいくつかあるので、自分たちの状況に合った活用方法を検討してみてはいかがでしょうか。

東急株式会社の「住まいと暮らしのコンシェルジュ」では、宅地建物取引士などの資格を持つコンシェルジュが、空き家の賃貸に関するお悩みに寄り添いながら、提携する不動産会社や管理会社、リフォーム会社などをご紹介しています。

空き家の活用にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。