マンションを売却する際、不動産会社に支払う報酬(仲介手数料)の額はどのように計算されるのでしょうか。きっと「不明瞭」と感じている方が少なくないでしょう。
じつは、仲介手数料は明確に受領できる上限が決まっています。上限額以下であれば、不動産会社は自由に値下げできますので、お客様が値引きの交渉をしてもかまいません。
ただし、報酬額は不動産会社の「仲介意欲」に直結します。値引き交渉をした結果、売却活動が長引いたり高く売れなかったりしては本末転倒ですので、注意が必要です。
本稿では、仲介手数料の相場や、売主が知っておくべき要点について解説します。もしも、あなたがマンションの売却をご検討中でしたら、本稿で仲介手数料の知識を深めてみませんか?
仲介手数料の上限額早見表
まずは、マンション売却時に仲介手数料がどの程度かかるのか、早見表でご紹介しましょう。
仲介手数料の上限額は、マンションの売却代金の金額で決まります。その関係は、以下のようになっています。
- 100万円で売却:55,000円
- 300万円で売却:154,000円
- 500万円で売却:231,000円
- 1,000万円で売却:396,000円
- 1,500万円で売却:561,000円
- 2,000万円で売却:726,000円
- 2,500万円で売却:891,000円
- 3,000万円で売却:1,056,000円
- 3,500万円で売却:1,221,000円
- 4,000万円で売却:1,386,000円
- 4,500万円で売却:1,551,000円
- 5,000万円で売却:1,716,000円
- 5,500万円で売却:1,881,000円
- 6,000万円で売却:2,046,000円
- 6,500万円で売却:2,211,000円
- 7,000万円で売却:2,376,000円
- 7,500万円で売却:2,541,000円
- 8,000万円で売却:2,706,000円
- 8,500万円で売却:2,871,000円
- 9,000万円で売却:3,036,000円
- 9,500万円で売却:3,201,000円
- 1億円で売却:3,366,000円
上述のとおり仲介手数料は、マンションの売却額次第でかなり高額になります。売主としては、できれば少しでも安く抑えたいと考えたくなりますが、そんなことができるのでしょうか?
じつは、この金額はあくまでも上限額であって、不動産会社が自由に値下げできます。しかし、ほとんどの不動産会社がこの上限額で請求していて、事実上、上述の金額が「相場」になっています。
マンション売却時にかかる仲介手数料の計算方法
つづいて、仲介手数料の計算方法と安くする方法をご紹介しましょう。
上述の上限額はどのように算出されているのでしょうか。安くする方法は、ないのでしょうか。詳しく解説します。
仲介手数料の上限額を計算する方法
仲介手数料は、国土交通省告示で上限額が定められています。さらに宅地建物取引業法で、上限額を超える報酬の受領や、不当に高額を要求する行為を禁止しています。
参考:国土交通省告示第493号
参考:宅地建物取引業法第46条
告示をご覧いただくと分かるとおり、仲介手数料の上限額(消費税込み)は以下の3つの区分に分けて算出したうえで、合算して求めます。
- 200万円以下の部分:売買代金の額の5.5%
- 200万円を超え400万円以下の部分:売買代金の額の4.4%
- 400万円を超える部分:売買代金の額の3.3%
とは言え「3つの区分に分けて算出したうえで、合算」するのはとても面倒ですよね。
ご安心ください。簡易的に計算できる式(速算式)がありますので、ご紹介しましょう。
- 200万円未満の物件:売買代金の額の5.5%
- 200万円を超え400万円未満の物件:売買代金の額の4.4%+2.2万円
- 400万円を超える物件:売買代金の額の3.3%+6.6万円
上述の早見表も、この式に当てはめて計算しています。キリのいい売却額でなくてもカンタンに計算できますので、お試しください。
なお、低価格の空き家等を売却する際の仲介手数料については、特例が適用されます (売主のみ)。不動産会社は、従来の仲介手数料の他に現地調査費用などの必要経費を上乗せできます。
この特例も、以下のとおり「仲介手数料+調査費用等」の額に上限が設けられています (国土交通省告示第493号 第7)。
- 400万円未満の物件:198,000円
- 400万円を超える物件:売買代金の額の3.3%+6.6万円
安価な空き家の取引では仲介手数料も低くなるため、不動産会社が消極的になりがちです。これを緩和するために、上述のような特例措置が執られています。
なお、東急株式会社「住まいと暮らしのコンシェルジュ」は「東京都の空き家ワンストップ相談窓口」となっています。空き家のことが気になっている所有者様は、ぜひお気軽にご相談ください。
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空き家を放置していませんか?
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近年、空き家が増えて問題になっています。2019年4月に発表された住宅・土地統計調査では、2018年の空き家の数は846万戸、空き家率は13.6%と過去最高を更新しました。
空き家率を都道府県別にみると,最も高いのは,山梨県の21.3%で,次いで和歌山県の 20.3%ですが、東急線沿線を含む東京都・神奈川県も他の都道府県と比較すると空き家率が低いとはいえ東京都が10.6%, 神奈川県が10.7%となっています。
空き家を放置すると責任を問われることがあります。
屋根瓦や窓ガラスが飛散したり、ブロック塀が倒れたりして、他人が怪我をした場合、空き家の所有者の責任となり、損害賠償を問われることもあります。
治安上の不安もあり、人の住んでいない家は、リスクがいっぱいです。
適正に管理し、将来的に居住する見込みがないのであれば、早期の売却等の対応をおすすめします。
立地によっては売却ではなく、賃貸にしたり、有効活用することも可能です。賃貸住宅の建築は数千万円~数億円の投資が必要になります。
また、駐車場や土地賃貸のように初期投資を抑えられる手法もあります。但し更地にする場合、固定資産税がUPすることに注意しましょう。更地は小規模宅地用地の「評価額×1/6」の該当ではなくなるためです。
間口が狭いなど敷地形状が賃貸住宅に適さない場合はトランクルームという選択肢もあります。
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本サービスでは東急線沿線の物件だけではなく、ご実家等の地方物件のご相談も可能です。(※提携パートナーの店舗がある場合に限ります)
そのほかにも、空き家を放置すると、相続などにより利害関係者が増えて、所有者の確認や、話し合いが困難になる可能性もあります。
「とりあえず保留」になっている空き家があれば、まずは相談しましょう。
ひとつではない「解決策」ご提案いたします。
2020/06/01
不動産売却2020/06/01
仲介手数料は値下げ(値引き交渉)可能
度々申し上げているとおり、告示で規定されている仲介手数料は「上限額」です。ほとんどの不動産会社がこの上限額で請求していますが、値引き交渉してもかまいません。
ただし、値引き要求は担当者の意欲低下を招くかもしれません。値引きしてもらえたとしても、積極的に買主を探してくれなかったり値下げして売ることを安易に勧められたりしては本末転倒ですので、ご注意ください。
そもそも、交渉に応じてくれる不動産会社は多くありません。その代わり、一部の会社はサービスを充実させることで付加価値を付けて対応しています。たとえば、こんなサービスです。
- ホームステージング:お部屋をインテリアコーディネートでモデルルーム化
- ホームクリーニング:お部屋の中や水まわりをそうじのプロが清掃
- ホームインスペクション:建物の状態を調査して報告
- 瑕疵(かし)保険:引き渡し後に判明した不備について補修費用を補償
- 賃貸査定:賃貸に出した場合の家賃相場をチェック
最近は、VR(バーチャル・リアリティ)内覧が普及しつつあります。それにともない、CG加工でホームステージングをしてくれる不動産会社も出てきました。
このような手厚いサービスをおこなう会社に仲介を依頼して、高額かつ早期の売却を目指すほうがよいケースもあります。売却の結果によっては、仲介手数料の値引きより売主に利得があるでしょう。
一方で、ITの発達で会社の運営コストが下がり、最初から低い仲介手数料額で設定している不動産会社も増えています。そのような会社を探して、仲介を依頼するのもひとつの方法です。
不動産売買の「仲介手数料」とは?
そもそも、仲介手数料とはいったい何の対価として支払うものなのでしょうか。仲介手数料について、さらに詳しく解説しましょう。
仲介手数料に含まれる業務、含まれない業務
仲介手数料は、不動産を売買する際、仲介を依頼した不動産会社に支払う報酬です。不動産会社は事務所ごとに報酬額を提示する義務がありますので、店舗に行けばすぐ確認できます。
仲介手数料に含まれるものは「通常の仲介業務で発生する費用」です。では「通常の仲介業務」とはいったいどのような業務なのでしょうか。いくつか例をご紹介しましょう。
- 物件調査と査定書の作成
- 登記事項の確認
- ガスや上下水道の状況を調査
- 法規制や都市計画を調査
- DM作成やチラシ作成
- チラシをポスティング
- 不動産情報サイトに掲載、修正、削除
- 購入希望者が現れたら物件案内
- 売主や、買主側の不動産屋と打ち合わせ
- 買主からの価格交渉の調整
- 重要事項説明の作成
- 契約書の作成
- 不動産売買契約の立ち合い
上述のように、どの取引でも必要不可欠な業務が「通常の仲介業務」になります。反対に、特定の不動産取引で発生する固有の業務や、不可欠ではない業務は通常業務に含まれません。
通常業務に含まれないものは、売主の同意の下でおこなわれ、実費で請求されます。こちらも例をあげてみましょう。
- 特別におこなう販売活動の費用
- 遠方の買主に会いに行く旅費交通費
- 測量費や図面作製費用
- 内装を撤去する場合の解体費用
- 修繕やリフォームの費用
なお、仲介手数料は成功報酬です。仲介活動が実って買い手が見つかり、不動産売買契約を交わすまで支払う必要はありません。
通常このことは、不動産会社と結ぶ媒介契約書の約款(やっかん)に書かれています。不動産会社が国土交通大臣の定める『標準媒介契約約款』を利用している場合は、第9条をご確認ください。
参考:標準媒介契約約款 第9条(報酬の受領の時期 )
仲介手数料を支払うタイミング
仲介手数料を支払うタイミングは不動産会社によって違いますので、仲介を依頼する会社にお尋ねください。一般的に採用されているのは、以下のどちらかです。
- 契約時半金・決済時半金
- 決済時一括
多くの不動産会社が採用しているのは「契約時半金・決済時半金」です。この「契約」とは不動産売買契約を指し、「決済」とは引き渡し(物件代金の清算)を指します。
支払いのタイミングは、売主と不動産会社が協議して決めることもできます。契約時に現金が用意できない場合は、決済時一括にできないか相談してみるとよいでしょう。
【まとめ】マンション売却の不明点はコンシェルジュに相談しよう
じつは、不動産会社に支払う仲介手数料は、マンションを売却する際にかかる諸費用の大部分を占めます。ですから、仲介手数料を節約できると、売却後に手元に残る所得額が大きく増えます。
とは言え、仲介手数料の値引き交渉は、あまり成功しません。交渉の結果、売却活動が長引いたり売却額が下がったりするぐらいなら、最初から短期かつ高額の売却を目指すほうがよいかもしれません。
このような検討と決断をおこなう際、売主様は度々不安や疑問を感じることでしょう。そんなとき、中立の立場でアドバイスしてくれる専門家がいたら、きっと心強いのではないでしょうか。
東急株式会社「住まいと暮らしのコンシェルジュ」は、マンションの売却活動を中立的な立場から無料でサポートします。ぜひ、お気軽にご相談ください。
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住み替えや不動産の売却を考えた時、何からスタートしますか?
例えば、不動産会社に直接相談すると、一方的な営業をされるのが困るという方も多いのではないでしょうか。例えば住み替えの場合、いくらで売れそうなのかも分からず引越しを考えるのは、さまざまな条件が漠然としすぎていて難しいですよね。例えば相続した不動産を売却する場合、現地が自宅から離れていると、近くの不動産会社に相談するのも躊躇われませんか?
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具体的な検討の場合、コンシェルジュが提携する不動産会社に数社まとめて査定を依頼することが可能です。その際、机上査定という簡易的な査定と実査定という精度の高い査定の2つの方法をお選びいただけます。机上査定は、現地の細かな条件を反映せずに査定をする方法です。まだ家の中まで見て欲しくないという方や不動産会社との接触はまだ先にしたいという方にお勧めです。この査定内容はコンシェルジュからお客様にご提示することも可能です。
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東急線沿線以外のエリアも対応可能(※)ですので、ご実家や転勤先などの不動産についてもご相談ください。(※未対応エリアもございます。都度確認いたしますのでお問い合わせください)遠方の物件の場合、コンシェルジュが現地担当者と連携してお手伝いいたしますのでご安心ください。
数社の査定金額を比較した時に「一番高い金額を提示した会社=良い会社」とは言い切れません。各会社・担当者の意見を把握し、価格だけではなく販売計画や実績を踏まえて会社の比較検討のお手伝いをいたします。
コンシェルジュは不動産会社ではないものの、宅建士の資格を持ったスタッフや実務経験のあるスタッフが数多く在籍しております。売却を進める中で心配なこと、不安なことは遠慮なくコンシェルジュにご相談ください。安心して進められるよう、コンシェルジュがお手伝いいたします。
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不動産売却2020/03/01
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不動産を売却したいと思った時に、まず頭に浮かぶことは「いくらで売却できそうか」でしょうか。出来るだけ高く売却したいと誰もが願うところですが、売却価格だけに捉われてしまうと大切な事をうっかり見落としがちですので、少しだけ視野を広げて頂ければと思います。
まず、不動産を売却した場合、売主に一定の責任が生じることをご存じですか?
よくあるお取引(標準売買契約書式の場合)ですと「主要な設備の不具合について、お引渡し後7日間の修復義務」や「建物の隠れたる瑕疵(下記4つの不具合)について、お引渡し後3か月間の修復義務」が売主に生じます。
・雨漏り
・シロアリの害
・建物の構造耐力上主要な部分の腐食
・給排水管の故障
単純に売却できたら終わりではないので注意が必要です。
そこで気にかけて頂きたいことが一つございます。
不動産仲介会社の「選択」です。
と申しますのは、仲介会社によってはそれらを「保証」してもらえるケースがあるためです。
「設備調査・建物調査」を実施したうえで、条件・状況により仲介会社が一定期間の保証をしてくれます。
ですので、下記2点について是非ご確認ください。
① 建物保証サービスの有無
② 保証内容および保証範囲
確認ができましたら、各社の違いを理解した上で仲介会社を選択していただきたいのです。
そうすることで売却後のトラブルやご負担を最小限に抑えることが可能になってまいります。
東急株式会社 住まいと暮らしのコンシェルジュでは、仲介会社選びのサポートも無料で承っております。お客様ご自身で各社のサービス内容を比べることも可能かと思いますが、ご面倒に感じられる方はご遠慮なくコンシェルジュにご相談ください。
売却査定価格や販売実績、売却後の保証サービス内容も含めお客様にとってより良い仲介会社をお選び頂けるよう、丁寧にサポートさせて頂きます。
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