離婚したらマンションは売却すべき?財産分与の方法、住み続けるときの注意点を解説

離婚したらマンションは売却すべき?財産分与の方法、住み続けるときの注意点を解説

離婚が決まり、マンションを売却すべきか悩んでいる方もいるでしょう。

離婚をすると夫婦の共有財産は、原則2分の1ずつ分けることになります。しかし、マンションは物理的に分けられないため、売却して現金化するか、どちらかが住み続けるか、2つの選択肢で悩む方が多いのです。

本稿では、離婚に伴うマンションの売却や財産分与の方法、住み続ける場合の手続きや注意点についても詳しく解説します。

マンションは離婚時の財産分与の対象

離婚する場合、結婚後に取得した財産は、すべて財産分与の対象になります。

つまり、結婚後に住宅ローンを組んで購入したマンションは、離婚時に夫婦で分ける必要があるのです。

結婚前に夫や妻が個人で取得していたマンションは財産分与の対象になりませんが、結婚後も住宅ローンを支払い続けていた場合、その部分については財産分与の対象となります。

そのため、いずれの場合においても離婚するとなれば、マンションをどうするかは夫婦でしっかりと検討する必要が出てくるでしょう。

ちなみに、マンション購入の際、頭金をどちらかの親に出してもらった場合、その分は特有財産として扱うことになります。

例えば、妻の両親に頭金の1,000万円を出してもらい、5,000万円のマンションを購入した場合、離婚に伴うマンションの分与割合は、以下の通りです。

マンション購入額5,000万円-頭金1,000万円=4,000万円(共有財産額)
4,000万円×1/2=2,000万円(財産分与割合は原則として2分の1)

夫の分与割合:2,000万円÷5,000万円=40%
妻の分与割合:(2,000万円+頭金1,000万円)÷5,000万円=60%

妻の両親が出した頭金の1,000万円は妻の特有財産となり、妻側の取り分に上乗せされます。

離婚時の財産分与割合は原則2分の1ですが、妻側に特有財産があることで、上記のケースでは夫:妻=4:6で分けることになるのです。

マンションは離婚時に売却したほうがいいの?

離婚時にマンションを売却すべきかどうかは、住宅ローンの残債があるかどうかがポイントとなります。

続いては、離婚時にマンションの住宅ローンが残っている場合、残っていない場合で、それぞれどんな選択肢があるかを見ていきましょう。

住宅ローンが残っている場合


離婚時にマンションの住宅ローンが残っているのであれば、考えられる選択肢は以下の3つです。

  • 売却してローン返済に充てる
  • 名義人がマンションに住み続ける
  • 名義人でないほうがマンションに住み続ける

それぞれ詳しく見ていきましょう。

売却してローン返済に充てる


もっとも簡単なのは売却してローン返済に充てる方法です。

ただし、ローンを完済して資金が手元に残る場合は、財産分与する必要があります。

離婚によって住宅ローンが残ったマンションを売却する手順、注意点については、以下の記事を参考にしてください。

離婚時に住宅ローンが残った家は売却できる?手順と注意点を解説

名義人がマンションに住み続ける


マンションの名義人がそのまま住み続ける場合、特に難しい手続きはありません。

もう一方に対してマンションの現在価値を基準とした代償金を支払ったうえで、引き続き住宅ローンを返済すれば問題ありません。

名義人でないほうがマンションに住み続ける


名義人でないほうがマンションに住み続ける場合は、注意が必要です。

例えば、名義人が養育費や慰謝料の代わりに住宅ローンを支払い続ける場合、将来的に支払が滞るリスクも考慮しなければいけません。

その際に、名義人でない方が連帯保証人になっている場合は、名義人でないほうに返済義務が生じることになり、最悪の場合は退居させられてしまう可能性もあります。

また、住宅ローン完済後には、マンションの名義をどちらかに変更する必要があるため、事前にしっかりと取り決めをしておくことが重要です。

住宅ローンが残っていない場合


離婚時にマンションの住宅ローンが残っていない場合、考えられる選択肢は以下の3つです。

  • 売却して現金を分ける
  • どちらかがマンションに住み続ける
  • 賃貸借契約を結ぶ

それぞれ詳しく説明します。

売却して現金を分ける


マンションの住宅ローンが残っていない場合も、売却して現金化したうえで財産分与するのがもっとも簡単な方法です。

トラブルも起こりにくく、お互いが新しい生活を始めるための資金も確保できます。

ただし、マンションの売却には手数料や税金などの費用がかかるため、売却価格の2分の1をそのまま受け取れるわけではありません。

また、離婚のタイミングですぐに売れるとは限らないため、ある程度の期間が必要なことは理解しておきましょう。

マンションの売却の流れや手順、費用については、以下の記事で詳しく解説しています。

マンション売却手順を分かりやすく解説!売れるまでの期間や入金のタイミングは?

不動産売却にかかる手数料や諸費用はいくら?相場や抑える方法を解説

また、マンションの売却に強い不動産会社の選び方についても、ぜひ参考にしてください。

マンションの売却に強い不動産会社の選び方、おすすめの方法を解説

どちらかがマンションに住み続ける


どちらかがマンションに住み続ける場合は、もう一方に対して代償金の支払義務が発生します。

マンションが夫婦の共有名義になっていたり、名義人でないほうが住み続けるという場合は、名義変更の手続きも必要です。

住宅ローンが残っていないマンションの代償金は、高額になることが予想されます。

代償金の支払ができるかどうかが、一つのポイントになるでしょう。

貸借契約を結ぶ


まとまった代償金の支払が難しい場合は、賃貸借契約を締結するという方法もあります。

住み続けるほうがもう一方に対して家賃を支払う形にすれば、代償金の支払は不要です。

離婚時の財産分与でマンション売却以外の方法はある?

離婚時には、マンションを売却して財産分与するのがもっとも簡単な方法です。

とはいえ、さまざまな事情で売却以外の方法を選ぶ夫婦もいます。

そこで続いては、マンションを売却せずに財産分与する方法をいくつか紹介します。

どちらかが住み続ける


前述の通り、離婚後にどちらか一方がマンションに住み続ける場合は、代償金の支払義務が発生します。

代償金は一括での支払いが原則ですが、両者が納得していれば分割での支払いも可能です。

また、財産分与割合は2分の1が原則ですが、住宅ローンの残債がある場合は控除することになります。

前述の通り、どちらかの親が頭金を支払っている場合は、特有財産として上乗する必要があるでしょう。

代償金の計算はとても複雑なため、専門家に相談しながら進めるのがおすすめです。

離婚後もマンションに住み続けるための手続きや注意点については、後ほど詳しく説明します。

慰謝料代わりにする


どちらか一方の不貞行為などで離婚に至った場合、住んでいるマンションを慰謝料として取得できるケースもあります。

慰謝料は現金で支払うのが原則ですが、支払う立場の側に現金やその他の財産がない場合には、不動産で代償弁済することも認められているからです。

ただし、住宅ローンの残債が残っている場合は注意が必要です。

名義人ではない側が慰謝料としてマンションに住み続けている場合でも、マンションを自由に売却する権利は名義人にあります。

勝手に売却されてしまう可能性もゼロではなく、ローンの支払いが滞ってしまった場合は金融機関によって競売にかけられるリスクもあります。

賃貸物件として貸し出す


マンションを売却せず、第三者に貸し出すという方法もあります。

この場合、賃料収入は原則として夫婦の折半になります。

ただし、マンション管理にはそれなりのお金がかかります。

管理費や税金を負担する必要がありますし、離婚後のパートナーと共同で賃貸経営をするのは現実的ではないでしょう。

離婚後もマンションに住み続ける場合の手続きと注意点

続いては、離婚後にマンションに住み続けたいという方に向けて、必要な手続きと注意点を解説します。

マンションの所有権移転登記


住宅ローンの残債がない場合、マンションに住み続けるための手続きは名義変更のみです。

離婚による財産分与であれば、贈与税が課税されることもありません。

マンションの名義変更をするには、所有権移転登記が必要です。

登記手続きを司法書士に依頼する場合は、報酬を支払う必要があります。

住宅ローンの借り換え


マンションの住宅ローンの支払義務は、名義人に対して課せられます。

多くの金融機関で住宅ローンの名義変更は不可となっているため、名義人でないほうが住み続けるケースでも、何も手続きをしなければ、引き続き名義人が支払をしなければならなくなります。

このような場合、一般的には住宅ローンの借り換えを行うことになります。

例えば夫名義の住宅ローンを妻の名義に変更する場合、まずは妻名義で住宅ローンを契約し、その借入金で夫名義の住宅ローンを完済するという流れです。

ただし、新たに住宅ローンを組むには審査に通らなければいけません。

妻の収入によっては、返済能力がないとみなされてしまい、難しいケースもあるでしょう。

離婚時のマンション売却や財産分与は専門家に相談しよう

夫婦で生活をしていたマンションは、売却して現金化したうえで財産分与するのが一般的な方法です。

とはいえ、さまざまな事情でそのまま住み続けることを希望するケースもあるでしょう。

住宅ローンの借り換えや代償金の支払でトラブルに発展することもあるため、離婚時のマンション売却や財産分与については、専門家に相談しながら慎重に進めることをおすすめします。


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